「じゃあその子、私にちょうだい」

 一瞬ギョッとしてしまうセリフだ。しかし、子どもが欲しくても妊娠できないかもしれない40歳の独身女性が、望まぬ妊娠をした18歳に向けたセリフだと知ったら、少し違う響きに聞こえるだろうか。福原遥と深田恭子がW主演を務めたドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)が、今夜最終回を迎える。

 福原にとっては朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK、2022年)以降初の民放ドラマ主演作であり、適応障害と診断され『推しの王子様』(フジテレビ系、2021年)を治療のため降板した深田にとっては、『ルパンの娘』(フジテレビ系、2020年)以来2年半ぶりとなる待望のテレビドラマ復帰作となった。18歳の大学生を演じる福原は25歳だが、偶然にも深田は役と同じ40歳だ。

ADVERTISEMENT

番組公式SNSより

 亡き母の影響でアート関係の仕事を夢見る有栖(福原遥)に、ある日妊娠が発覚する。父親になるはずの恋人(八木勇征)とは破局。大学進学と出産に揺れる有栖は、アートキュレーターとして活躍する瞳子(深田恭子)と出会う。一時は中絶することも考えていたが、手を差し伸べてくれた瞳子のサポートもあり、子どもを育てつつも、夢を諦めない道を模索していく。

 ドラマ開始時は、法律上では“成人”とされながらも同級生より一足先に大人にならざるを得ない18歳の妊娠・出産を軸に進んでいくと予想していたが、意外にもあっさりと有栖は第5話で子どもを産む。つまり、このドラマで描きたいテーマは、人生の一大イベントである有栖の出産より、さらに奥にあるということだ。

世代を超えた“シスターフッド”の物語を宣言していた

 ドラマの情報が解禁になった当初から、『18/40』は18歳と40歳の世代を超えた“シスターフッド”の物語だと宣言していた。シスターフッドとは、1960年代から1970年代にかけて行われたウーマン・リブ運動の中でよく使われた言葉で、女性同士の連帯を意味している。それは友情よりも深く、性愛とはまた別の、いわばこの一筋縄ではいかない世の中をサバイブするための連帯だ。

「2人でくっついていました」という撮影現場でのオフショット(深田恭子の公式インスタグラムより)

 さて第9話まで終えた『18/40』は、紆余曲折あった有栖と瞳子も、ようやく自分が求めるものを理解し、それぞれの幸せに辿りつこうとする一歩手前……なのだが。18歳の有栖よりも圧倒的に40歳の瞳子に近い30代の私は、心を寄せられないまま最終回までついてきてしまった。シスターフッドをテーマに掲げたこのドラマは、ほんとうに、女性のための物語だったといえるのだろうか。