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深田恭子と福原遥がW主演『18/40』炎上騒動を経て浮き彫りになった"対立構造”とは「いつもの深キョンだったら…」

2023/09/12
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放送開始前にキャッチコピーが炎上した

 ここ最近は日本のテレビドラマでも、シスターフッドをテーマとした作品が増えてきた。今年は、30代で亡くなった主人公が人生をやり直すドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系、2023年)や、お笑いコンビ・エレキコミックのラジオオフ会に参加した女性3人がカフェ開店を目指す『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系、2023年)、恋愛観の違う二人の女性を描いたグルメドラマ『今夜すきやきだよ』(テレビ東京系、2023年)などが放送された。

 さらに永野芽郁と戸田恵梨香が出演し「第48回放送文化基金賞(テレビドラマ部門)」の最優秀賞を受賞した、女性警官バディが主役の『ハコヅメ』(日本テレビ系、2021年)もシスターフッドものだといえるだろう。女性たちのために紡がれた物語は、性別や年代を超え、現代を生きる多くの人が求めるテーマとなった。

 そんな中、昔の話を蒸し返して申し訳ないが、『18/40』は放送開始前にプチ炎上を起こしている。火種となったのは、こんなキャッチコピーだった。

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「18歳新成人で未婚の妊婦“オトナ初心者”ともうすぐ40歳恋愛素人の独身“オトナ未満女子”の年の差を超えた #シスターフッド(女性の絆)を描きます」

批判が集まった放送開始前のキャッチコピー(番組公式SNSより。現在、投稿は削除済み)

“オトナ女子”のイメージを築き上げた深田

 とっくに成人しているはずの30代~40代女性が、独身または恋愛が得意ではないばかりに“オトナ女子”といった肩書きをつけられることは、恋愛ドラマにおいて、珍しくない設定である。むしろ平成後期の恋愛ドラマでは馴染みのあるシチュエーションで、瞳子を演じる深田は、視聴者が理想とする“オトナ女子”のイメージを築き上げたトップランナーだ。

『初めて恋をした日に読む話』(TBS系、2019年)で共演した横浜流星が「第44回エランドール賞」で新人賞を受賞し、授賞式に駆けつけ祝福のスピーチをする深田 ©時事通信社

 しかし上記のキャッチコピーだと、18歳で未婚の妊婦が「初心者」といえど“オトナ”認定されている一方で、もうすぐ40歳になる独身女性は“オトナに至っていない”という意味になる。二人を分かつものはなにかと考えたとき、「恋愛をしている/していない」「子どもを産む/産んでいない」以外のことを、この文章から汲み取ることはなかなか難しい。

子どもを「産める/産めない」という対立構造

 ネット上を中心に多くの疑問の声が挙がったこのキャッチコピーは、その後使われなくなった。もともとドラマを視聴する予定がなかった人は納得したかもしれないが、妊娠中で体調がすぐれない有栖に宅配ピザをふるまうシーンなど、瞳子がどこか幼さの漂う“オトナ未満女子”であるという設定は依然として物語の奥底に根付いていたように思う。

 他にも、いわゆるおばさん口調と言われるような、40歳の女性として妙にリアリティのない瞳子の話し方など、思うところはあるのだが、最も気にかかった点は、今作が「18歳の子どもを産める女」と「40歳の子どもを産めない女」という対立構造を、無邪気に作ってしまったことだ。