「私生活で、こんな男とは絶対にかかわりたくありません。でも、演じ甲斐はあるんですよね」
そう話すのは、3月17日より公開される『ニワトリ★スター』で、最低最悪のヤクザ・八田を演じる津田寛治さん。
この映画は大麻の売人(井浦新)とその友人の青年(成田凌)が、裏社会に片足を突っ込みながらも、ささやかな幸福を手に入れるまでの物語だ。
「僕は『映画は弱者のためにある』という言葉が好きで、常に映画を観るときの物差しにしています。この作品はそこにピタリときたんです。決して立派ではない、流されるだけの若者の人生にも素晴らしい価値がある。それは生きづらい世の中に生きる、現代の若者を映していると思いました」
その2人の主人公を容赦なく底辺に引きずり込み、使い捨てようとするのが八田だ。
「かなた狼監督からは『とことん腐った人間を演(や)ってほしい』と言われました。八田はヤクザの世界で上を目指せるタイプではないのですが、人を追い込んで、傷付けることに快感を覚える男なんです。こういう役を演じるとき、僕は幼い頃にまで遡(さかのぼ)って考えてみるんです。彼の周囲にはどんな人間がいたのか。そこでどんな嫌な経験をしてきたのか。生き残るためにどんな奴らと付き合ってきたのか。その作業が、愛情いっぱいにスクスク育った人よりも面白いんですよ」
『ニワトリ★スター』
3月17日より全国順次公開
http://niwatoristar.com/