SUGAの活動を追いかけることが、私の「喪の仕事」だった
中野 お父様とはBTSの話をしたことがあるんですか。
坂本 SUGAさんが子どもの頃に『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』を観て以来、お父さんの曲が好きなんだよ、とか数年前からレクチャーを何回かしました。昨年、父を訪ねてくださって、2人で共作もして、『Snooze』という曲が、父が亡くなった直後に発表されました。彼が坂本龍一の魂を継いでいってくれるような気がします。
SUGAさんの公演で映像の最後に追悼のメッセージが入っているのを見て父が作品の中に生き続けているのを感じ、とても励まされました。私は日本公演の後にタイ公演も観に行ったんですが、この一連のプロセスがなかったら、まだ父を失った悲しみにどっぷり浸かっていたかもしれません。
中野 フロイトが唱えた「喪の仕事」という概念があります。大事な人と引き離されていく悲しみを乗り越えて生きていくための心的過程のことですが、あえて忙しさの中で少しずつ亡くなったことを実感していくというのは有効なんです。
坂本 そう思うと、SUGAさんのソロ活動を追いかけることが、私の喪の仕事だったのだと思います。肉体的にはハードだったけど、それは必要なことだったんですね。
※インタビューの全文は『週刊文春WOMAN2023秋号』でお読みいただけます。
取材・構成=小峰敦子
写真=志水隆
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2023年9月21日 発売
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