X(旧Twitter)社のオーナーであり、世界一の大富豪であるイーロン・マスク(52)。その素顔を綴った評伝『イーロン・マスク』が9月13日に世界同時発売された。著者のウォルター・アイザックソンは元『タイム』誌編集長で、『スティーブ・ジョブズ』の評伝作家でもあり、2年に渡ってマスクと行動を共にし、家族や同僚、さらには敵にも取材を重ねて、マスクの姿を浮き彫りにした。

2018年、メットガラでのマスクとグライムス ©AFP=時事

 評伝では、マスクがエンジニアの父、エロール・マスクから受けた虐待の事実も、つまびらかにされている。マスクの母親、メイ・マスクは「父親と同じになるかもしれない」という恐怖と息子が闘ってきたと語る。一方で、マスクは、ビジネスにおいても、恋愛においても、トラブルの予感がすると生きていることを実感するタイプだとウォルターは分析する。

イーロンの母、モデルのメイ・マスク ©dpa/時事

「人生は痛みの連続だと子ども時代にたたき込まれたのでしょう」

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 こう話すのは、ミュージシャンのグライムス(35)だ。豊富な女性遍歴でも知られるマスクだが、彼女はマスクの子ども10人のうち3人、息子「X Æ A-12(エックス・アッシュ・エートゥエルブ、通称X)」と娘「Exa Dark Sideræl(エクサ・ダーク・サイディリール・マスク、通称Y)」、そしてこの書籍で明かされた、2022年に生まれた3人目の子どもである息子「Techno Mechanicus(テクノ・メカニカス、通称タウ)」の母親だ。グライムスの言葉には、マスクも同意し、「私は苦しみが原点なのです。だから、ちょっとやそっとでは痛いと感じなくなりました」と明かす。

 8月には、千葉県で行われたグライムスのライブのステージ上に上がったことも話題になったマスク。「特別な存在」であると公言していたグライムスが明かしたマスクの逸話を、評伝『イーロン・マスク』から抜粋して紹介する。