もちろん、雑誌のオーディションにもバチバチにアイプチをして臨んだ。それで合格できたのはいいものの、同時に「これがウソの顔だってバレたらどうしよう」という不安も私のなかにあった。
恐る恐る相談してみると、ママの答えは明確なものだった。
「わかった。じゃあ、整形しよ。アイちゃんがやっと可愛くなれるチャンスだよ! ママ、応援するから」
私は、速攻で美容外科に連れて行かれることになった。
整形手術
「お母さん。アイカちゃんはまだまだ子どもですし、これからどんどん顔も変わっていきます。本当にいいんですか?」
二重の手術にやってきた中学1年生の私を見て、先生はかなり驚いた様子だった。
「構いません。遠慮せずやってください」
「アイカちゃんも、本当にいいんだね?」
先生がこちらに顔を向ける。そりゃ怖いか怖くないかと聞かれたら、どう考えても怖いに決まってる。診察室に並ぶ、何に使うのかもよくわからない器具たちが、ニヤニヤ笑いながら私のことを見ているように感じた。
「……はい、大丈夫です」
なんとかそう答えた。先生の顔も、ママの顔も、まともに見ることができなかった。
私が受けた手術は、「埋没法」と呼ばれるものだった。埋没法は瞼に直接メスを入れる「切開法」と違い、瞼を糸で留めることで無理やり二重のラインを作り出すという手法だ。
そのときも色々と先生に説明されたと思うけど、何も頭に入ってこなかった。いざ病院に来てみたはいいけど、やっぱり痛そうだし怖い……そんな感想しか浮かばなかった。
それでも、これで少しでも自分の顔がよくなるなら――。その一心で私は覚悟を決めて、手術を行うベッドに上がった。
「もうやめて! 痛い痛い痛い痛い痛い!」
大声で泣き叫びながら手術を受けた。当時は今ほど美容整形の技術が発達していなかったし、瞼をひっくり返されて、死ぬほど怖い思いをして打った麻酔も十分に効いてるとは言い難かった。
あまりの痛さに、どうにかなってしまいそうだった。きっと訳もわからず連れて来られていた小さい妹は、私が特殊な拷問でも受けてるんだと思ったんじゃないだろうか。誇張でも何でもなく、辛すぎて手術の時間が永遠に感じた。