摂食障害に苦しむなかで「第54回ミス日本コンテスト2022」に挑み、グランプリに輝いた河野瑞夏さん(22)。

 一時期は体重が30キロ台にまで落ち込んだという彼女に、摂食障害のきっかけとなったダイエット、凄まじい勢いで“痩せ”が進んでいった大学時代、そうした状況下で抱いた食に対する考えなどについて、話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)

河野瑞夏さん

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大学で友達を作るなら魅力的な人にならないと…

――高校3年生で始めたダイエットが摂食障害に繋がったとのことですが。

河野瑞夏(以下、河野) 高2の冬から春にかけて、すごく太って。太ったといっても、体重はいまと変わらないぐらいだったんですけど、振り向きざまの1枚に「あれっ?」と思ったんです。それで高3に入ってからダイエットするように。

――「あれっ?」となったのは河野さんだけでしょうか。

河野 そうですね。その1枚って、たしかお正月に撮った家族写真で。同級生からなにか言われたわけでもなく、自分だけがなんとなく太ったように感じたんです。

 それでダイエットを始めたんですけど、高3に入って大学進学を控えるにしたがって「大学で友達を作るなら魅力的な人にならないといけない。一番早い方法は外見を磨くことなんじゃないか」って考えてしまって、ダイエットに拍車がかかったんです。

――高校生以前で太っていたことは。

河野 太ってはいませんでしたね。小学校はずっとバレエをやっていたので、どちらかというとガリガリなほうでした。中学生の途中で、父の転勤でイギリスに行って、そのときはライフスタイルなどが変わってふっくらはしましたけど、それでも痩せ型ではありましたね。

 バレエや体を動かすことが好きだったので、食べても太るってことがなかったんです。なので「ダイエットしなきゃ」と思うこともなかった。

「背が高くてスラッとした瑞夏ちゃん」でいなくちゃという恐怖

――“友人を作るのに容姿が大事だ”と考えることになったきっかけがあったのですか?

河野 おそらくですけど、それまでの私はどちらかというと目立つ場所にいたんです。ダンス部に所属していたり、背が高かったこともあって、なんとなしに目立つ場所にいることを許されていて。そんな状況を楽だと感じていたり、それに甘んじていたところがあったのかもしれないです。

 それもあって「背が高くてスラッとした瑞夏ちゃん」から「大きくてモッサリした河野」になったら、誰も私に価値を感じてくれないんじゃないかって。そういう恐怖はものすごくありました。

――クラスカースト最上位とまでは言いませんけど、目立つ位置にいられるかいられないかが、10代の頃の河野さんにとっては重要だったと。

河野 すごく歪(いびつ)だなとは感じていましたね。

 大学に進んだら、そうしたものはすべてリセットされてスタートするから、なにか特徴づけなくちゃって。それが「痩せる」だったんですよね。