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ご飯への恐怖が出てきて、白米を完全に抜くように

――高3では「白米の量を少なめ」だったのが、大学に入ってからは「白米の量が親指ほど」になったそうですが。

河野 大学に入って、4月の後半にはそんな感じになっていました。朝ごはんはそんなに食べなくなって、お昼は自分で小さなおにぎりを握ったり、敷き詰めたキャベツの上にささみをちょろっと乗っけたものを作ったり。それにスープを飲む程度で。食べ終わったら、ジムでずっと運動をして。夜は母がご飯を用意してくれていたんですけど、そのなかから小鉢のものだけを食べて寝ちゃう。そんな感じでした。

2019年9月の体成分分析表 (本人提供写真)

――その食事量で学校とジムに行ったら、フラフラしそうですね。

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河野 それがなかったんですよね。本当にギリギリの状態を保ち続けていたんだと思います。

 そうしているうちにどんどんとご飯への恐怖が出てきて、白米を完全に抜くようになりました。

「当たり前のようにおにぎりを食べるなんて信じられない」というマインド

――食事や食べ物が怖いとなると、外で食べる人を見ると負の感情がグワッと湧いてきそうですよね。

河野 よくタバコを吸っていた人が禁煙すると、タバコを吸っている人に対して猛烈な嫌悪感を抱くといった話を聞くじゃないですか。あれとたぶん同じ感覚で、駅のホームとかでおにぎりを食べている人を見たりすると、「本当に信じられない!」という気持ちになるんです。すごく憎たらしく思えてくると言ったほうがいいかもしれないです。

2019年7月 体重は44kg(写真は本人提供)

 “糖質の権化”みたいなおにぎりを当たり前のような顔をして食べているのが信じられなくて、「私はこんなに苦労して食事を選んでいるのに、なにも考えずに食べるってどういうこと!」って。ちょっと支離滅裂なマインドに陥るんですよね。

――ましてや大学なんて、なにかしら食べている人間が周りにたくさんいますよね。当時の河野さんにとってちょっとした地獄だったのでは?

河野 地獄でしたけど、「私はこの人よりも絶対に美しいから」ってところに行き着くんです。で、どんどん自分にしか拠り所がなくなっていく。

――そんな状況でも、食事をするときは、味を気にするものですか。

河野 「おいしい」と感じたり、味を気にすることはあんまりなくて、ただただ栄養の摂取として考えていました。

――そうしたなかでも、美味しく感じられた一品やハマった一品みたいなものってありましたか。

河野 いま、パッと思い浮かぶものはないですね。当時は本当に変なものをずっと食べていて。一時期、ずっと夕飯に食べていたのが、えのきをラップで包んでレンジでチンして、それをキムチとあえたやつとか。

――ヘルシーかつ、おいしそうですけどね。

河野 おいしいっちゃ、おいしいんですけど(笑)。あとは、おからパウダーが主食でした。おからパウダーと豆腐をお湯で混ぜて、それをキムチであえて。

――それも、おいしそうです。

河野 おいしいです。おいしいんですけど、それを毎食毎食という感じだったので。