生理が止まっても「太るくらいなら、このままでいいや」
――鏡を見て、自分でも「痩せすぎているな」と感じることは。
河野 それは常にあるんです。体重計に乗っても数字を気にしなかったと話しましたけど、「痩せ過ぎだな」と感じたりすることはありますし。ただ、そういったことを考えないようにしていたかもしれないです。
――極度に痩せると、身体的に変化はあるのですか。とにかく力が入らないとか?
河野 わかりやすい例だと、お尻の骨が出てしまうので、長時間カウンターの席に座っているとあざがついたりとか、バッグが擦れて骨盤のあたりにあざができたりしました。
あとは、生理はずっと止まっていました。大学1年のときに、婦人科にこっそり行ったんです。先生に「痩せ過ぎだから、せめて6キロぐらいは体重を増やしなさい」と言われて「え、6キロも太るのは絶対に無理」と思って、「太るくらいなら、このままでいいや」って。そこから生理のことを考えないようになりました。
関係あるかわからないけど、背中にビックリするくらい長い毛が生えてくるようになりましたね。
イライラして親を近づかせない雰囲気に、母も「変だな」と
――そこまで痩せたり、一緒に食事をするのを避け続けたりすると、ご両親や周りの人たちもさすがにおかしいと気づきそうですが。
河野 大学1年の9月か10月あたりに母が「あれ?」って。でも、痩せてきたことよりも、私があまりに母を避けることに「変だな」と思ったらしいんです。食事に関して話しかけられると、とにかくイライラして親を近づかせない雰囲気を出しまくっていたので。
――大学1年の秋の痩せ具合というのは?
河野 それまでは「ほっそりしたね」ぐらいだったのが、頬がこけてくるようになって。笑うと皮が突っ張って頭蓋骨の形が浮き出てくる感じになってきたんです。
冬になると脂肪がないから猛烈に寒くて、ヒートテックを4枚ぐらい重ね着するようにもなって。これは自分でもマズイなと悶々としているうちに大学2年になって、コロナで世の中が大変になるんですけど、そのコロナ禍でまた悪い方に向かうんです。
今度は過食にもなって、キッチンで吐いたまま眠ってしまったり。(#2に続く)
写真=深野未季/文藝春秋
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