差し入れのシュークリームを一口かじって捨てて「私、なにしてるんだろう」
――おにぎりが“糖質の権化”に見えたとのことですが、いままで食べてきたものを拒否してしまうわけですよね。
河野 当然のごとくお菓子は食べられなくなって、チョコとかは完全に無理になってしまったし。うどんなどの麺類も“糖質の権化”になってしまって、食べている人に対しても「信じられない」って。
――でも、どうしてもたべることを避けられない場面があったのでは。たとえば、誕生日を祝ってもらってケーキが出てくるとか。
河野 そういった場面はありましたね。その時はケーキを食べるんですけど、後から罪の意識がすごい押し寄せてくるんです。
大学ではダンスサークルに所属していたんですけど、学祭のときに先輩が皆にシュークリームを買ってきてくれたんです。「これ食べて、本番がんばるぞ!」って皆はワイワイしているんですけど、私はどうしても食べられなくて。一口だけかじって、紙ナプキンで包んでこっそり捨ててしまったときは「私、なにしてるんだろう」って。先輩や皆を裏切っているような気持ちになって、本当に辛かったです。
母とはすれ違いの生活で痩せすぎに気付かれず
――数カ月後に何キロ減とか、ダイエットの目標値みたいなものはありましたか?
河野 あくまで現状維持を目指していたので、何キロといった数値はなかったです。ただ、体重よりも「自分が頑張っている感」にこだわるようになって、さらに運動量を増やしたり、食事の量を減らしたりして、自分を追い込んでいきましたね。
体重計に乗っても「減ったな」「増えたな」程度で。体重の増減を気にする摂食障害の方は多いけど、私はそのあたりは気にならなかったですね。
――家ではお母さんの目があったと思いますが、どう対処をしていたのでしょうか。
河野 母は専業主婦で家にいることが多かったんですけど、母が起きる前に家を出て、母が寝てから家に帰っていました。
あと、母と同じジムに通っていたので、母の知り合いのおばちゃんが痩せた私のことを目にしたんです。そのおばちゃんが、母に「瑞夏ちゃん、痩せすぎじゃないの?」と話したことがあって。
けれど、自分の娘はそんなことないだろうと思っていたみたいで。というのも、私の親友が摂食障害になって退学してしまったんです。私が間近で彼女の様子を見ていただけに、「瑞夏は大丈夫だろう」って思っていたみたいで。