友達作りがうまくいかず、ダイエットを拠り所に
――高校時代のダイエットは、どんなものを。
河野 母がジムに通っていたので、私もそこに入れてもらって。毎日、有酸素運動を欠かさずやって、夕飯は白米を少しにして。毎日だったので、いま思えば結構ストイックでしたね。
ただ、旅行先で食べるのを我慢することはなかったですし、誕生日のケーキも普通に食べたりとか、一応メリハリをつけていたというか。その頃は、まだ食を楽しめてはいたかなと思います。
――それが大学に入って、過激な方向に進んでしまう。
河野 友達作りが本当にうまくいかなくて。「友達を作るために、いろんなコミュニティに属そう」と考えて、サークルを掛け持ちしたり、オシャレにも気を使ったりしたけど、ダメだったんですね。
「はじめまして」はすごく得意なんですけど、そこからの距離の詰め方が得意じゃなくて。なかなか踏み込めないんですよね。そうなってくると、拠り所はダイエットしかなくて。「私はダイエットしているし、かわいい服も着られるから大丈夫」じゃないけど、結局そこに戻って安心して、それを保つためにはダイエットするしかないみたいな感じになってしまったんですね。
大学に入りたての頃って、飲み会とかみんなでご飯を食べる場で仲を深めることが大事じゃないですか。私はそういった誘いをすべて断ってジムに行っちゃっていたので。それでまた、どんどん距離ができていって。
でも、「こんなに頑張っている自分」みたいなところにどんどん依存していって、もう「ジムで体を動かして痩せたい」ではなくて「ジムに行かないと落ち着かない」になっちゃったというか。これが悪循環の大きな原因にもなっていましたね。
自分の思いや考えを言語化することが苦手だった
――友達作りは、昔から苦手でしたか。
河野 幼稚園の頃から苦手でした。小学校に入っても友達ができなくて、3年生までは母が仲を取り持ってくれた子とようやく友達になれたくらいで。4年生になって自力で友達を作ったけれど、3人グループのなかでいつも自分だけがあぶれてしまったりして。振り返ってみると、自分は友達を作る以前に自分の思いや考えを言語化することが苦手だったんじゃないのかなと。
それもあって面白いことが言えなかったり、気の利いたことが言えなかったりして、自信がなくなったというのはありますね。一方で昔から皆に「スラッとしてるね」と言われていたので、外見を重要視するようになったんだと思います。
――「ひとりでもいいや」というタイプでもなかったと。
河野 「ひとりでも大丈夫」みたいな感じで強がっていたんですけど、いま思うと、私はすごく人が好きだし、寂しがりだなって。
摂食障害になるまで、ずっと自分は自己肯定感が高くて自分をすごく愛せる人間なんだと思っていたんです。でも、それって表面だけで実はすごく孤独だったし、他の人よりも面白くもないし、賢くもなかったんじゃないという劣等感があったって最近になって気づきました。