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「全員うすうす気づいてましたよね…」燃えに燃えているジャニーズ性加害問題から見えてくる“深すぎる病理”

2023/09/22
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 我が子が無事誕生日を迎えたので、例年の通り銀座の不二家にケーキを買いに行ったんです。そしたら、女性ばかり長蛇の列なんですよ。

 なんか男が味わうことのない新たなスイーツでも出たのかなと思ったら、いま話題のジャニーズSnow Manのクリアファイルをお客さんに配っていたんですね……。しかも、前の列で100円ぐらいのLOOKチョコレートらしきものを買った中年女性が、いそいそと列の最後尾に並ぶという。女性しか並んでいない列に私のようなおっさんがぽつんと佇みながら、何とも言えない気分になりました。

 で、そのジャニーズ事務所なんですが、これまた燃えに燃えています。大変なことです。

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ほぼ平常運転のまま、ここまできてしまったジャニーズ事務所

 創設者のジャニー喜多川さんが、長年に渡る小児性愛と一方的な性暴力を伴う性加害を繰り広げた結果、亡くなられた後に弾けて大変なことになるという話ですから、そりゃスポンサーやメディアを巻き込んだ騒動にもなります。

ジャニー喜多川氏

 それまでも、北公次さんによる告発本があり、さらに99年には文春がジャニーズ事務所との訴訟の果てに、ジャニー喜多川さんの事務所所属少年に対する性加害報道については最高裁判所より真実との判決を勝ち取っています。にもかかわらずジャニーズ事務所はほぼ平常運転のまま、こんにちまで来てしまいました。ジャニー喜多川さんが亡くなられてイギリスBBCによって犯罪的な少年性被害に関する報道が行われて以降、勇気ある告発者たちの赤裸々な体験の告白によってようやく事件解決の道筋が見え始めた、というのが実情です。

 また、本件ではジャニー喜多川さんが亡くなって以降この問題が騒動になり、その後、外部専門家によるジャニーズ事務所に本件に関する調査報告書が出ているのですが、そこでかなりストレートにジャニーズ事務所に性加害を隠蔽する体質があったと判断されています。この時点で、一連の性加害を繰り返してきたジャニーズ事務所については反社会的勢力、あるいはそれに準ずる組織と思われても仕方がない事態に追い込まれます。

 何より、ここで指摘されるのはジャニーズ事務所のジャニー喜多川さんによる性加害は、その当時、被害者であったかもしれない未成年の男性タレントが、組織防衛のためか加害者に回ってしまう構造があります。当時性犯罪の被害者と同じ立場にあった面々が、表に出て、積極的にジャニーズ事務所の存続を願い、そのような被害実態があったことを証言するどころか隠蔽に回っている時点で反社会的なんですよ。