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「全員うすうす気づいてましたよね…」燃えに燃えているジャニーズ性加害問題から見えてくる“深すぎる病理”

2023/09/22
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ソフトランディングできる最終バスに乗れず手遅れに

橋田康さん(中央左)とカウアン・オカモトさん(中央右) ©️文藝春秋

 結局、BBCがジャニーズ事務所の性被害問題を報じ、カウアン・オカモトさんら性被害の実態を公表したタイミングで、すぐにジャニーズ事務所が抜本的な対策をしていれば、あるいはソフトランディングできたかもしれません。逆に言えば、その時期が円満に解決できるフラグであり、最終バスだったと思います。もはや、ジャニーズ事務所は反社会的勢力に準ずる存在として排除の対象となり、性被害を受けた所属タレントさんたちに補償をするバッドカンパニーと、実質的に事務所の機能を存続させ営業するグッドカンパニーとに分け、ジャニーズの看板を下ろして別資本を入れ、人事を刷新しない限り浮上することはおそらくなくなりました。

 これもう、水俣病訴訟で重大な賠償金を払うことになった旧チッソや、膨大な負債を穴埋めするために負債をバッドカンパニーである国鉄清算事業団(日本国有鉄道清算事業団)と同じ手段でどうにかするしかなくなって、存続する事業会社は名前を変えて資本も入れ替えるわけですよ。バッドエンドまっしぐらですが、これだけ騒ぎになった以上、もはや解決させないわけにもいきません。

 ジャニーズ事務所の問題は、業界の仕組みそのものにあります。当たり前のことですが、芸能界を志してジャニーズ事務所に入所したすべての男の子たちがデビューでき、売れるとは限りません。入所した男の子たちの大半は華々しい芸能界での活躍を夢見ながらも、売れるのは一握りであって、スターとなる望みを絶たれ、失意のまま普通の人生を送るケースがほとんどです。

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「ユー、今夜は『合宿所』に泊まっていきなよ」

 しかしながら、その練習の過程においてジャニー喜多川さんの目に留まり、認められようと必死に頑張る中で「ユー、今夜は『合宿所』に泊まっていきなよ」と言われて性加害の具にされてしまいます。まだ子どもだから世の中そんなものかと納得させられる状況そのものが、ジャニーズ事務所でスターになれるという補償のない代償としては重すぎる問題じゃないのかと思うわけですよ。