27歳で出産する前後、今後について考える時間ができた。出産前は、バラエティタレントのままでいいかなとも考えたという。だが、妊娠中にお腹が大きくなるにつれ、モチベーション高く仕事を続けていくには、やりたいことをしたほうが頑張れるだろうと思うようになる。そこで目標に掲げたのが、長年憧れていた、俳優として映画に出るということであった(『LEE』公式ウェブメディア2020年2月17日配信)。
彼女にとって映画は遠い世界ではあったが、演技の先生をつけてレッスンも始める。こうして8年ほどかけてついに、ずっと好きだった白石和彌監督の『孤狼の血』(2018年)に出演を果たした。
2020年には、前年に公開された『ひとよ』『台風家族』での演技が評価され、ブルーリボン助演女優賞を受賞している。今年3月公開の映画『赦し』では、一人娘が同級生の少女に殺害された母親という役どころに挑み、加害者の再審が行われるなかで葛藤するさまをリアルに演じた。
「芸能界のどんな出来事よりも大変」だった出来事
昨年にはテレビ東京系の深夜ドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』をプロデュースし、美容品会社のカリスマ社長の役で出演もした。これは「日本人女性の自己肯定感は世界一低い」という記事を読み、そんな女性たちに向けてエールを送りたいと思ったことから自らテレビ局に企画を持ち込んだものであった。同作は好評を博し、さらに来月10日には、女性応援ドラマの第2弾として『くすぶり女とすん止め女』がスタートを控える。
毎年、事業計画書を書いたり、ドラマの企画・プロデュースに手を染めるようになったのには、2016年に金沢にオープンしたパンケーキカフェ「cafe たもん」での経験が大きい。出店するにあたっては、地元との交渉などに腐心し、《今までに経験した、芸能界のどんな出来事よりも、めちゃめちゃ大変でした》と語るほどであった(『anan』2022年12月21日号)。
そもそも店を始めたのは、彼女がメンターとして尊敬しているある姐さんから「芸能界でこの先長くやっていくのなら、外の世界をもう少し知った方がいい。一番勉強になるのは、商売をやること」と言われたのが発端だったという。カフェを開いてから彼女は、《商売をしていなければ、[引用者注:ドラマの]プロデュースもやっていなかったと思います》と語った(『anan』前掲号)。実際、ドラマをつくるにあたっては、資金集めから弁当の手配までこなしたというから、経営者として学んだことは確実に活かされている。
50代を見据えた野心
現時点ですでに10年後の計画も立てており、50代になったら映像プロデューサーとして、日本の良質なドラマや映画を海外に売っていくことをもくろんでいるという。同時に、俳優としても海外に行きたいとの夢も掲げる。
海外の映画で日本人が演じるのはサブの役が多く、その場合、着物の着付けの先生の予算までは出してもらえないので、自分で着付けができて、そのうえ日本人顔の人はすごく需要があると言われたことがあるという。彼女はこれらの条件に当てはまるだけに、「いけるのでは!?」と野心をたぎらせる(前掲『LEE』公式ウェブメディア)。
10代で渡米したときから変わらぬ行動力に、先を見通すクールさが加わったらこれほど強いものはない。国際派俳優にしてプロデューサー・MEGUMIが生まれるのはさほど遠い未来ではないような気がする。