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 科学を学んだせいでもあろう、どこが急所で、その急所を念入りに触ると、クマに変化が生じることを確認した。

「おいおい、愛とは何だ」

 花びらの中心に、指を入れてみたかった。膣は私の指よりも深く、肉でくるまれるだけだろう。だけど、クマの心には、何か変化が生じるはずだ。

 敢行しようか。

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 いや、と押しとどめるものがあった。

 それは許されないことだ。

第一章 ヒグマのどんべえと暮らした日々 「冬眠室の夜」より(イラスト:本人)

 生命への畏敬の念と言ってもいい。クマは今、目の前で輝いている。それをよごす感じがした。

 私は、馬の膣などには、平気で手を差し込む。このクマは違う。愛している存在だ。

 おいおい、愛とは何だ。

 私は、毎日、クマに乗り、呟き続けていた。