軽自動車におけるワンボックスの一種「軽バン」で車中泊をしながら、日本全国を旅するYouTubeチャンネルが人気を呼んでいる。登録者数30万人超の「軽バン生活」だ。あかねさん(29)・はやとさん(28)のカップルがこのチャンネルを始めたのは3年前。2人で軽バンをDIYする様子や、車中泊生活のリアルを映した動画が注目を集め、着実に登録者数を伸ばしてきた。

 そんな「軽バン生活」のあかねさんに、車中泊での日本一周を始めたきっかけや、軽バンを選んだ理由、車中泊生活に対する周囲の反応などを聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)

軽バン生活のあかねさん(写真=あかねさん提供)

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軽バンで車中泊の旅をする前は銀行で営業をしていた

――あかねさんは、パートナーのはやとさんと一緒に「軽バン」で日本一周を目指しているんですよね。

あかねさん(以下、あかね) 中古で購入したマツダのスクラムを、2人でキャンピングカー仕様に改造して旅をしています。車内でも水道や電気が使えるように水道管や配線を通したり、料理ができるようにミニキッチンをDIYしたんです。移動はもちろん、食事も睡眠も、そして仕事も車内でしているんですよ。

――今は全国を旅しながら、その様子を配信するYouTuberとして活動されていますが、その前はどんな生活をしていたのでしょうか。

あかね 社会人3年目までは銀行で営業をしていました。毎日自転車でお客さんを訪問していましたね。

――今の生活とは、かなりギャップがありますね。

あかね 銀行の仕事も楽しかったんですよ。ただ、定年までの仕事内容や給与が先輩や上司の話を聞いてある程度分かってしまい、20年先、30年先の自分が想像できてしまって……。

 実はずっと、「自分の将来の夢がない」ことにコンプレックスを感じていました。「就活で有利だろう」という理由で大学は経済学部に進学し、在学中は仕事にできそうな趣味や特技が見つからず。就活中は「安定した将来を送れそう」という理由で銀行を選びましたが、実際に数年働くと、人生一度きりなのに、本当にこのまま何十年もここで働くことが正解なのだろうか……と不安が募っていったんです。

キャンピングカー仕様に改造した軽バンの車内で、食事も睡眠も仕事もできるという(写真=あかねさん提供)

――ちなみに、大学時代にやってみたいことはあったのでしょうか。

あかね イラストを描くのはずっと好きでしたね。でも、それを仕事にできる人は、特別な才能を持った一部の人だけだと思っていました。

――軽バン生活のYouTubeに挿入されているイラストは、あかねさんが手掛けているそうですね。

あかね そうなんです! 好きだったイラストが仕事に活かせるようになるなんて、銀行員のときはまったく想像していませんでした。