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――試行錯誤を経てたどり着いたのが、YouTubeだったのですね。

あかね そうです。彼が趣味で音楽をやっていたので、作曲や動画編集ができたんですよ。私は少しだけイラストを描けたし、失敗しながらもSNSの知識が徐々に身についていた。私と彼のスキルをかけあわせて、YouTubeに力を入れたらいいんじゃないか、と思ったんです。

 最初に動画を投稿したのは、2020年の12月。コロナ禍で車中泊への興味が高まりつつあったものの、まだ動画を投稿している人はそこまで多くありませんでした。また、自分たちでDIYした軽バンで旅しているのが珍しかったのもあって、登録者数は順調に増えていきましたね。

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軽バンで旅する様子や車中泊生活のリアルを映した動画が反響を呼んでいる(写真=あかねさん提供)

YouTubeのチャンネル登録者数が30万人を超えても自信を持てないワケ

――おふたりで運営する「軽バン生活」は現在、登録者数30万人を超える人気チャンネルになっています。しかし、安定した銀行員を辞めてYouTuberになると言ったときには、心配する人も多かったのでは?

あかね ありがたいことに、銀行を辞めてワーキングホリデーに行くと言ったときも、それがダメになって車中泊の旅に切り替えたときも、そしてYouTubeで生計を立てると決めたときも、私の両親は応援してくれました。「自分の好きなようにしたらいい。もう十分、大人なんだから、自分の行動には責任を持てるでしょ」って。

 彼が私の実家にあいさつに来てくれたときも、心配しつつも「2人で決めたことなら頑張ってね」と背中を押してくれました。ちなみに私の父は水道屋さんをしていて、軽バンの車内に水道管を取り付けるのを手伝ってくれたんですよ。

 ただ友達には、銀行を辞めて車中泊をしていること、YouTuberをしていることを未だに自分からは言えていないですね……。

現在はYouTubeで生計を立てている(写真=あかねさん提供)

――すでに実績もあるのに、どうしてでしょうか?

あかね 自分のしていることに、まだ100%の自信が持てていないのかもしれません。日本一周はいずれ終わりますし、「カップルでYouTube」というのも将来ずっと続けられるものではない。「これが私の仕事」というには自信がないんだと思います。

 もちろん、コメントで「動画を見て癒された」「旅行してる気分になれた」と言ってもらえることにはやりがいを感じています。だから、日本一周をしている間はYouTubeを全力でやり遂げたいです。

 旅が終わったあとは、今の私たちのキャラクターを前面に出さなくても「いいね」と言ってもらえる動画や製品、場所作りなどを発信していきたい。それが成功できたときに、初めて仕事として自信を持てるのかなと思います。