仲のよかったヲタ友が性格まで一転したように
一方、ジャニーズファンの中で起きる“抗争”に悩まされている人も多くいます。
Cさんが推す平野紫耀さんは、今年5月にジャニーズを離れました。そのことで「推しも自分も叩かれている」そうです。
「ジャニーズを辞める前は元気がないように見えた平野さんが、今はまぶしい笑顔を見せてくれています。本当に嬉しくて、これでよかった、幸せだと思っていました。でもジャニーズがこういう状況になってから、仲のよかったヲタ友から『裏切り者』とか『昔の仲間が大変なときによく笑えるね』というDMが来るようになりました。
しかも『平野さんが移った滝沢(秀明)さんの事務所には悪い噂がある』とか、政治や宗教まで絡んだ陰謀論を言われてうんざりしています。明るくて楽しい人だったのに、“敵”を探しては毒づいたり、嘲笑したりするようになってしまったんです」(Cさん)
TLに渦巻く怨嗟の声の中には、「私だって推しに笑っていてほしいのに……逃げた人だけ幸せになるなんてずるい」といった口惜しさもにじんでいるように思います。
それがエスカレートすれば「一枚岩になって事務所を支えない人は裏切り者」となってしまうのでしょう。
そういった言動を見たファン以外の人が「ジャニーズファンはおかしい」と非難することも多いですが、彼女たちのやるせない気持ち自体はわかるのです。
根底にあるのは大切にしていたものを失うことへの恐怖と怒り、そして深い悲しみです。だからこそ叩くばかりでなく、痛みを癒して前に進む道を探さなくてはなりません。
「私には前科があるんです」
今回の問題の解決方法として、タレントたちが別の事務所へ移籍することを提案する人は多いです。しかし10年来のジャニーズファンであるDさんは、「大きな声では言いづらいのですが、推しが他の事務所に移籍したら応援を続ける自信がありません……」と打ち明けます。
「私には“前科”があるんです。昔の推しがジャニーズを離れたとき、最初は『どこに行ったって彼は彼だから応援する!』と思いました。でも移籍後の初ライブを見て、ジャニーズ時代とのギャップに打ちのめされてしまったんです。会場の規模はもちろん、衣装も演出もグッズも大幅にグレードダウンしていて、なんか違う……というモヤモヤを拭いきれませんでした。
それで『ああ、私は華やかでキラキラしたジャニーズの人が好きなんだ』って気づいてしまいました。あんなに好きだった人を安っぽく感じた自分にがっかりしましたが、結局応援は続けられなくて、ジャニーズの中で新しい推しを見つけました。
『タレントは移籍すればいい』と簡単に言う人もいますが、自分としてはとても複雑です。また、自分の醜さに向き合うのが怖いんです。私みたいな人がいるから、ジャニーズの衣を脱ぐのが怖いタレントさんもいるんじゃないでしょうか」(Dさん)
ジャニーズのステージは、エンタメ界の中でも際立って豪華です。お金もノウハウも豊かなジャニーズのステージに慣れると、他のライブを観てもその落差にショックを受けて順応できないことはありうると思います。
一度上がった生活レベルを下げるのは難しいと言いますが、ジャニーズという“装置”込みでタレントさんを愛した人には、装置の喪失は大きなダメージになるのです。そしてそれは、タレントさんにとっても同じことかもしれません。