服部 SILK LABO作品はこんな感じのタイトルが多いです。もちろん、タイトルでプレイ内容がわかるようになっているものもありますけどね。
たとえば「Triangular(トライアングラー)」シリーズは3Pなんですよ。「Hide & Seek(ハイド&シーク)」は、周りにバレないようにセックスするシリーズです。
──タイトルだけでは内容がわかりにくい場合、どうやって自分好みの作品を探すのでしょうか。
「イケナイ関係」「そんなつもりじゃ…」という独自のタグ
服部 女性向けに特化した動画サイトでは、男性向けとは異なる、独自の動画タグが設定されていたりします。GIRL’S CHでは、好みのタグを選んで検索できるようになっています。
たとえば《イチャイチャ》は恋人同士、《イケナイ関係》は不倫や肉親、《そんなつもりじゃ…》は、最初は拒んでいるけど快感に変わってしまう、という意味です。男性が女性を責めるだけでなく、女性が責めるものもありますけどね。
──面白いですね。
服部 下品な言葉だと引いてしまう女性への配慮だと思います。あと、苦手なプレイが検索に出なくなるように、「◯◯なし」タグを設定できる、という配慮もされているんですよ。
──「レイプなし」のような?
服部 そうです。「フェラチオなし」「パコパコなし」「汁なし」などですね。嫌なプレイを避けるタグもあるのは、GIRL’S CHの特徴です。
女性向けAVの多くは、男性向けを「切り抜き」したもの?
──それにしても、「女性向けAV」で検索すると、ものすごい数の動画が出てきますね。
服部 しかし、女性向けに撮りおろした作品ではなく、元が男性向けAVだったものを、切り抜いて編集されたものも多いんです。
──どういうことでしょう?
服部 僕が「女性向けAV」と呼んでいるものは、2種類あります。まず、女性向けに撮りおろされた作品。今までお話ししてきたのがこれにあたります。
そして、男性向けAVを再編集して「女性向け」に提供している動画。これが結構あるんです。たとえば、7年前の数字になりますが、GIRL’S CHの全動画のうち85%が、自社の男性向けAVを再編集したものでした。
──そんなにですか。
男性向けAV「盗撮された美人OL」は、女性向けで「彼氏とラブラブエッチ女子」に
服部 当時、GIRL'S CHプロデューサーだった方にインタビューしたことがありますが、最初はあらゆる男性向けAVを再編集していたようです。それで多種多様な動画が公開されていたのですが、人気が出る作品には傾向がありました。
男性向けAVの中でも「イケメン男優がしっかり映っている」「セックスに至る状況や、快感の表現が自然」などの条件を満たすシーンが、利用者からは「女性向けで良い」と評価されていたんです。
──そうすると、レイプものなどは絶対ダメですよね?
服部 いい質問です。実は僕が調査した当時、女性向けAVとして再生数1位になっていたものの元動画は、『世田谷区在住 美人OL結衣24歳 恥辱まみれの輪姦レイプ』という男性向け作品でした。
──どう見てもNGっぽいですが……。
服部 この作品は、前半で美人OLが狙われて日常を盗撮され、後半は家に入ってきた複数の男に強姦される話です。そのうち、前半の「盗撮された彼氏とのセックスシーン」だけが、女性向けの動画として切り取られています。
──そのシーンは彼氏が相手なので、プレイ内容もマイルド、ということですか。
服部 ええ。男性向けAVとしては、前半の彼氏とのラブラブな雰囲気は、後半のレイプシーンを引き立てるためのものでしかありません。しかしだからこそ、前半だけを切り抜けば『イケメン彼氏とお家でキスいっぱいラブラブエッチ』というタイトルで出しても、全く違和感のない動画になるわけです。
──すごい発明ですね。
服部 女性向けAVをそう大量に撮れない中、主にコスト削減のために生まれた制作手法ですが、面白い現象ですよね。