関口 そうです。モデルとしては、これまでスポーティなダイバーズウォッチやパイロットウォッチが中心だったところに、ブレスレットタイプのいわゆる“ラグジュアリースポーツ”を志向したもモデルが増えています。文字板の色はブラックか白で、ケースはステンレススティール。また、大人が着けるにふさわしい腕時計であることも重要で、モデルの由来や歴史、ブランドの正統性もポイントになります。そこで10万~25万円台のプライスゾーンとなると、おのずと選択肢は限られてきます。
――では、関口さんがオンオフ兼用時計を自腹で買うとしたら、どんなモデルを選びますか?
買いの決め手は、価格以上の価値を感じる仕様
(1)ティソ「ティソ PRX 35mm パワーマティック 80」(10万7800円)
関口 オンオフ兼用というキーワードで、真っ先に思い浮かんだのがこちら。1853年にスイスで創業した老舗・ティソが、新しい定番と位置付ける「PRX」です。
1978年に発売されたアーカイブモデルをモチーフにしたスポーツウォッチは、ブレスレットと一体化したケースや直線的なフォルムが特徴です。この35mmはクォーツ式だけでしたが、今シーズンは自動巻きムーブメントが搭載された新作が登場しました。
クセのないシンプルな3針時計ですが、チェッカーパターンが施された黒い文字盤が着こなしのさり気ないアクセントに。ケースサイズも絶妙で、小ぶりな35mmケースは、かっちりとしたスーツの腕元にも違和感がなく収まり、かつシャツの袖に引っ掛かりにくいというメリットも。
また、機械式時計はパソコンやスピーカー、スマホが発する磁力が大敵ですが、このモデルはムーブメントに特殊なニヴァクロン(TM)製ひげゼンマイを使うことで、高い耐磁性能を実現しています。10万円ちょいで、これほどの耐磁性能を持つ腕時計はそうそうありません。もし、今、自分が1本も機械式時計を持っていないとすれば、このモデルをファーストチョイスにすると思います。
シチズンの技術力を実感できるハイスペックモデル
(2)シチズン「プロマスター マリーン NB6025-59H」(17万500円)
関口 日本の時計技術をリードしてきたシチズンのダイバーズウォッチといえば、1977年生まれの「チャレンジダイバー」が有名です。1980年代にオーストラリアの海岸にこの腕時計が打ち上げられたのですが、びっしりとフジツボで覆われていたにもかかわらず、動き続けていたため、敬意を込めて“フジツボダイバー”と呼ばれるように。プロ仕様のギアを志向する「シチズン プロマスター」の「NB6025-59H」は、そんな伝説のモデルのデザインを受け継ぐ1本です。