10月13日に政府が東京地裁に請求した解散命令によって、危機的な状況に陥っている統一教会(現・世界平和統一家庭連合)。
2022年7月の安倍元首相暗殺事件以来、統一教会問題に声をあげてきたのが、小川さゆりさん。両親が熱心な統一教会信者という家庭の下で生まれた2世信者である。そして、さゆりさんの活動を誰よりもサポートし、横で見守ってきたのが、夫である小川りょうさんだ。
りょうさんは、いかにしてさゆりさんと統一教会の問題を見つめてきたのか。熱心な信者であるさゆりさんの両親とどう向き合ってきたのか。交際から現在までを振り返る。(全2回の2回目/前編を読む)
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「聖酒を飲ませようとしたら妻がキレて…」
――結婚が決まって初めてさゆりさんの両親に会った日のことを覚えていますか?
小川りょう(以下、小川) 果たして歓迎されるんだろうか、価値観が根本的に違ったら話は噛み合うのかという不安だらけでしたけど、会ってみたらとても気を遣っていただいて。お母さんはちょっと不安そうでしたけど、お父さんは少なくとも言葉の表面上は、率直に喜んでくださっていました。この辺は普通の回答だからかどの番組も毎回カットされるので嬉しいです。
雰囲気も普通なんですよ。ただ……あの感じを説明するのが難しいんですが、一見普通の生活の中に宗教的なものがひゅっと紛れてくる感じがありました。この話をテレビですると、一番過激なエピソードの部分だけを怖い雰囲気で使われてしまうんですが、それ以上に、日常と(詳しく知らない)宗教が共存している状況の方が、私にとっては異物感があって慣れなかった。
ご両親は当然、娘を信者と結婚させたいという思いがあったでしょうから警戒はしていたでしょうね。でも、まあとりあえずは歓迎してもらいました。あ、でも親子喧嘩はありましたね(笑)。
――親子喧嘩ですか?
小川 お付き合いさせてもらってますって挨拶をして、じゃあちょっと一杯乾杯っていう時に、出てきたお酒が宗教的な意味を持つ「聖酒」で。何も言わずに飲ませようとしたから妻がキレてしまったんです。「あなたたちのそういうところが信用できないんだ」と。そこから大喧嘩です。
私としては、こっちに信仰心がないから飲んだところでただの歓迎の一杯に過ぎないので「別に飲んでも構わない」って言ったんですが、妻はその後にどういう風に勧誘に繋げていくかを色々知っていたから「絶対にダメ」って、頑として折れなかったんです。そこから過去にお金をとられたこととかも全部バーッと吐き出してしまい、ご両親もてんぱっちゃってて。どう話したもんかみたいな空気になっちゃいましたね。