――両親に対して様々な想いがあったさゆりさんですが、それでも結婚の報告はしたかったんですね。
小川 いや、なかったと思います。付き合ってから同棲まで1カ月ぐらいって早いと思いますが、最初は「さっさと名前変えて照会できないようにして完全に絶縁する」ぐらいのことを彼女は言ってたんです。でも一方で親として好きだった面も当然ある。こういう相反する思いを整理できていない状況だったので、「縁を切るのはいつでも出来るんだから、一旦は距離を置きながら付き合っていこう」と伝えて、方針を変えました。ならば、挨拶はしなきゃねっていうことで。
――さゆりさんとしては小川さんとの交際や結婚が両親と縁を切るための強硬手段だったと。
小川 多分そうなんだと思います。元々会った時点で信仰から離れていたので自分が初めての恋人ってわけでもないんですけど、だからこそ過去の経験を含めて、それなりに覚悟しなきゃいけないっていう考えだったんだと思います。ちょっと付き合ってみようかな、じゃなくて。
――その後、両親とは何回会ったのですか?
小川 結婚前に4回ぐらいでしょうか。結婚式も招待しています。結婚した後は、子どもが生まれてから2回会ってますね。
銃撃事件の日に話したこと
――それからしばらくして2022年7月8日に安倍元首相の銃撃事件が発生します。逮捕された山上徹也被告は動機について「統一教会への恨み」から犯行を計画したことを自供しています。事件当日のことを覚えていますか?
小川 安倍元首相の銃撃事件があった当日は、普通にニュースを見て「ひどい事件が起きたみたいだね」という会話をした記憶があります。
――この事件を契機に、小川さゆりさんは「統一教会の教会長の娘」というアカウント名義で発信を始めています。そこから改名して、現在の「小川さゆり」になるわけですが、活動を始めるにあたって事前に相談はあったんですか?
小川 その当時は何も知りませんでした。何かのツイートがバズったタイミングで教えてもらって。ただ妻も最初は、問題意識とか大層な感じで始めたわけでなくて、自分にもこういうことがあったというのをただ知ってほしくて始めたようでした。
――そこからどうやって「小川さゆり」として活動していくことになるんでしょうか。
小川 MBSさんで特集を組んでもらうことになって、それまでは「Aさん」とかで取材には応じていたんですけど、ディレクターの方が帰る時、「仮名でも名前があったほうが人の印象にも残りやすい」とアドバイスをいただきまして、玄関で 30 秒くらいで決めました(笑)。本人の意向で可愛らしい名前をということで3人で考えて「小川さゆり」。