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下村博文元文科相が文藝春秋を提訴 森喜朗元首相に手渡そうとした「疑惑の紙袋」を巡る奇妙な弁明

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「いや、お菓子の、デパートの包みですよ」

 だが、この時のインタビューでも紙袋の中身については、「ちょっとそれはわからなかったです。具体的なのは」と下村氏。続けてこう答えた。

「これは変に隠しているわけじゃなくて、デパートで買った部分と、私の事務所で用意した部分があるので、ちょっとどこのデパートのどういうお菓子かというのはちょっとわかりません。恥ずかしい話なんだけど、ウチの事務所で頂きものが結構あってね、その中から相応しいものを(森元首相に)出すこともあるんです。あんまりそんなことを言いたくないでしょ? でもそれはちゃんとした、良いものだったから。包みを替えるなりしてですね。(事務所の)財政上の問題もあるので。そういうことだということで、お察しください」

――どんな袋で持って行った?

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「いや、お菓子の、デパートの包みですよ」

――お菓子はその後どうした?

「持って帰りましたよ、もちろん」

森喜朗元首相 ©時事通信社

――仮にお菓子だとして、森元首相に持っていくものですから気を遣ったものでは?

「そうですね、それなりのものでしたよ、当然」

――記憶にないのが不思議です。

「うん」

 つまりこの時は、具体的な商品名などは分からないとしつつ、紙袋の中身はお菓子だったのではないかと主張していた。

分からなかった中身が、インタビュー1時間後に判明

 ところが、証言を翻したのはその約1時間後である。下村氏は森功氏に電話をかけてくると、次のように語った。

「秘書に調べてもらったところ、手土産は2万円相当の(京都の料亭)和久傳のちりめん山椒とすっぽんの煮凝りの詰め合わせとのことでした。秘書が別の人に贈るつもりで買っていて、それを森さんのところに持っていったのです」

 9月24日の電話取材から26日の議員会館でのインタビューまで、2日間かけて分からなかった紙袋の中身が、インタビューのわずか1時間後に判明したのはなぜなのか。

 10月17日の記者会見で下村氏は、森元首相と面談した際のやり取りについて「司法の場で明らかにしたい」と語ったという。文藝春秋は報道各社の取材に対して「記事には絶対の自信を持っている」とコメントをしている。

 現在発売中の月刊誌「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載した森功氏の記事「森喜朗元首相へ下村博文元文科相が持参した疑惑の紙袋」では、紙袋を渡そうとした場面の詳細なやり取りに加えて、下村氏が森功氏の取材に対して語った回答についても詳報。また、安倍派の座長に就任した塩谷立氏に加えて、「5人衆」である松野博一官房長官や萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長らも実名で取材に応じ、安倍氏死去後の派閥の混乱について語っている。

下村博文元文科相が文藝春秋を提訴 森喜朗元首相に手渡そうとした「疑惑の紙袋」を巡る奇妙な弁明

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