夏休みが終わり、2学期に入るとヤンキー系の生徒たちのヒロシさんに対する態度はエスカレートしていった。
「2学期の合唱コンクルールの練習で音楽室にいたときです。ヤンキー系の生徒の1人から“膝カックン”をされました。僕は直前に気づいて、自分で体勢を崩して倒れないようにしたら、その仕草を見たヤンキーたちが大笑いして、それ以降“イジメるとリアクションが面白いやつ”としてターゲットになってしまいました。休み時間になるたびに集団で僕の机に寄って来てちょっかいをかけられるようになりました。襟元を掴んで持ち上げられたり、暴力を受けることもザラでした」(同前)
ヒロシさんは当然、担任の教師に訴えた。しかしその対応は全く想像していないものだった。
「担任に相談すると、『ヒロシくん、もしかして今までイジメられたことないの?』って言われたんです。小学校の時にイジメられていた時期があることを訴えました。でも担任の反応は変わらず、『今までイジメられていなくて、今回が初めてだから、こんなに興奮しているんじゃないか』と言われました。全く対応しようとしなかったんです」(同前)
「嵐のようなイジメ」が連鎖していた中2のクラス
ヒロシさんによれば、中2のクラスの荒れ方はすさまじいものだったという。今でも当時を思い出す時「嵐のようなイジメ」と表現する。
「僕の前も、別の男子生徒がイジメを受けていました。ヤンキー系のグループが、目についた生徒を次々にターゲットにしていたんです。僕の後にもまた別の男子がターゲットになっていて、僕を入れて少なくとも4人が被害に遭っていました。それなのに、23年6月の市教委との話し合いでも、中2時の担任は『自分の学級ではいじめは一切起きていなかった』と教育委員会を通じて回答しているんです」(同前)
3学期に入っても、壁に押し付けられて悪態をつかれるイジメ行為は日常的に続いていた。その後、継続的な暴言等の嫌がらせは一時的に止んでいたが、終業式まであと2週間となった3月8日の放課後、掃除の時間に「最大の事件」が起きてしまった。