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「イジメグループの1人が、掃除中に『何サボってるんだ』と難癖をつけてきました。また暴行されるかもしれないという恐怖を感じて、咄嗟に身構えたんです。その手が相手のミゾオチに当たりました。その瞬間、そのヤンキーが僕の襟首を掴んで10秒ほど空中に持ち上げると、教室の柱に投げ倒したんです。その後も、手洗い場で僕の顔を殴打した。アザはありました。すぐに担任が教室にきて、アザを確認されました。担任は現場を見ていたかはわかりませんが、相手の生徒に『もうやめろ』とは言っていました」(同)

 このときの担任の対応について、ヒロシさんは不満を持っている。担任は「先に手を出したヒロシくんも悪いよ」などと言った。ヒロシさんは「加害者の保護者と話がしたいので会わせてくれませんか」と訴えたが、担任は「落ち着いた方がいい」などと言い、取り合わなかった。

「お前なんかいつでも殺せるぞ」「目ん玉つぶす」

「担任は、クラスのヤンキーグループに舐められていました。『お前なんて教師とは認めねえ』と面と向かって言う生徒もいました。それで僕は学校や先生を信じられなくて、『学校はこんなものだ。諦めるしかない』と感じていました。事件の後は相手生徒から『お前なんかいつでも殺せるぞ』『目ん玉つぶす』と、ことあるごとに言われるようになって、怖かった。本当に、殺されると思いましたよ」(同

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 ヒロシさんの母親は、3年後に相談されるまでこの時期にイジメを受けていたことを知らなかったという。

「暴行を受けてアザができたりしていたはずですが、私達を心配させないために隠していたようです。

中学生の時のノートには当時の怒りや苦しい気持ちが生々しく書かれている

 当時は、一番ひどい暴行を受けた掃除の時間のときも、保健室へ行くように促したとは報告されましたが、暴行があったとは知らされていませんでした。息子は受けた暴力について担任に報告していたのですが、真剣に受け止めてくれなかった、と。学校としては、イジメへの対応は何もありませんでした」(母親)

 3年生になりクラス替えがあったことでヒロシさんに対するイジメは落ち着き、卒業。その後はフラッシュバックなどに苦しみ、進学した高校は中退。その後は働くことができなかった。