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「ゲームが1本売れると1ドルくらい」「馬は買えば買うだけ赤字」長者番付にも載ったダビスタ開発者が明かすゲームクリエイターと馬主業の“意外すぎる収支”

「ゲームが1本売れると1ドルくらい」「馬は買えば買うだけ赤字」長者番付にも載ったダビスタ開発者が明かすゲームクリエイターと馬主業の“意外すぎる収支”

2023/10/29

genre : ライフ, 社会

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――その馬が重賞を6つも取ったのはすごいです。

薗部 バランスオブゲームをセリで競っていた相手が、マイネルの岡田繁幸さんでした。席が近かったので自分が競り落としたと思っていたらしく、セールのあとで「うちに売ってくれませんか?」と言われたんです。「相馬眼の鬼」として有名な岡田さんにそう言われたら、「これは絶対に走るぞ」と思うじゃないですか。手放すわけにはいきませんよ(笑)。

――ご自分で馬を選ぶ際には、何を参考にするんですか?

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薗部 血統ですね。というか、それしか参考資料がないんですよ。「お、これは“面白い配合”だな(ゲーム中で一定の要件を満たした配合を行うと「面白い配合ですね」とのコメントが表示される)」とか、『ダビスタ』で作った配合理論に当てはめたりしますが、だいたい外れますね(笑)。

バランスオブゲームが2001年の新潟2歳ステークスを勝った時の祝勝会の様子

――近年は競走馬がちょっとバブル状態というか、1億円を超える馬もポンポンでるようになりましたよね。20年以上セレクトセールに毎年参加されている薗部さんから見て現状はどうですか?

薗部 落札価格が高騰しすぎちゃった感じはありますよね。昔は1億円を超える馬が出ると会場で拍手が起きたものですけど、いまでは1億円超えが当たり前ですから。「金を捨てに来ているのか?」って思うこともたまにあります(笑)。そもそも元を取ろうとは思っていないんでしょうが。

馬主は「もちろん赤字ですよ、買えば買うだけ赤字」

――それでも毎年落札され続けていますよね。

薗部 こればっかりはもう意地ですね。実はセレクトセールの第1回目(1998年開催)から同じ名義で買い続けている人は僕ともう1人くらい。とは言ってもあまり高い馬は買えませんから、細く長くですけど。セレクトセールは馬を購入すると翌年も席を用意してくれるので、それがあるうちは行こうかな、と思ってます。宗像先生が引退するまでは続けたいですね。

 

――実際問題として、馬主というのは儲かるお仕事なのですか?

薗部 それはさすがに生々しすぎるなぁ(笑)。でももちろん赤字ですよ、買えば買うだけ赤字。データをつけているんですけど、僕の場合は(回収率)75%くらい。だから馬券と同じくらいですね。種牡馬になればまた別でしょうけど、基本的に儲かるものではないですね。

――馬(ダビスタ)で稼いだお金を馬(競走馬)に使っている、ということですね。

薗部 やっぱり所有馬がレースで勝った時はシンプルに嬉しいんですよね。特に未勝利戦を勝ち上がってくれたとき。馬主冥利に尽きますよ。

「ゲームが1本売れると1ドルくらい」「馬は買えば買うだけ赤字」長者番付にも載ったダビスタ開発者が明かすゲームクリエイターと馬主業の“意外すぎる収支”

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