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「ゲームが1本売れると1ドルくらい」「馬は買えば買うだけ赤字」長者番付にも載ったダビスタ開発者が明かすゲームクリエイターと馬主業の“意外すぎる収支”

「ゲームが1本売れると1ドルくらい」「馬は買えば買うだけ赤字」長者番付にも載ったダビスタ開発者が明かすゲームクリエイターと馬主業の“意外すぎる収支”

2023/10/29

genre : ライフ, 社会

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薗部 1988年から1992年まで「ダービースタリオンズステークス」(東京芝2400m、5歳以上900万下)というレースが存在したんです。これは日本ダービーで1~5着馬か、主要国ダービー優勝馬の産駒しか出走できないという、珍しい条件のレースでした。2013年に日本ダービー80周年記念で復刻開催された時には、「『ダービースタリオン』の名前を使ってもいいですか?」とJRAから連絡をもらいました。もちろん「そちらが先ですから、どうぞご自由にお使いください」と答えましたよ(笑)。

――立場が逆転したのはおもしろいです。

薗部 僕は1996年に馬主になったんですけど、その当時は「ダービースタリオンズステークス」は無くなっていました。だから復刻開催の時はなんとしても自分の馬を出走させたかったんですよね。普段は調教師の先生に「あのレースに使ってくれ」なんて口出しはしないんですけど、このときだけは宗像義忠調教師に相談して、ディープインパクト産駒のターゲットマシンという馬を出走させてもらいました。勝てませんでしたけどね(笑)。

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はじめてセリ市で行った時の薗部さん。当時約35歳

――JRAの馬主としての活動も25年以上になるのですね。

薗部 1996年に競馬雑誌「サラブレ」(当時アスキーから刊)の企画で馬主資格を取得したんです。資格の審査が通る前にアメリカに馬を買いに行ったので、購入後に審査に落ちたらどうしようかとヒヤヒヤしてましたけど。

「これで今年の朝日杯はもらった」

――購入先にアメリカのトレーニングセールを選んだ理由は?

薗部 当歳や1歳で買うとデビューまで最低でも1年以上かかります。トレーニングセール(2~3月開催)で2歳馬を買えば、早ければ半年たらずでデビューできますからね。雑誌の企画だったから、早めにデビューできたほうがよかろう、と。

 

――どうやって購入馬を選んだんですか?

薗部 当時『ダビスタ96』のテレビCMに出てもらっていた競馬評論家の大川慶次郎さんに「一緒に馬を買いに行きましょう」とお願いして、フロリダまで行ったんです。そのときに大川さんに選んでもらったのがスタープログラマーでした。大川さんは「これで今年の朝日杯はもらった」って言ってましたね(笑)。そのときに紹介されたのが、当時まだ若手だった宗像調教師です。まさかこれほど長い付き合いになるとはそのときは思いもしませんでしたね。

――薗部さんの所有馬はすべて宗像調教師が担当されています。最も活躍したのはバランスオブゲーム(GⅡ毎日王冠など重賞7勝)ですか?

薗部 そうですね。バランスオブゲームは、セリ市に一緒に行った宗像調教師が珍しく「これいいですよ。行ってみませんか」と勧めてくれた馬なんです。宗像先生はあまりオススメを言うタイプではなくて、僕も生意気で自分で選んで買いたい方。だからオススメを買ったのは初めてでした。