ーーたしかに『未成年』の壱成さんは、神がかっていました。
石田 拍手、拍手でしたよ。『未成年』はTBSで、僕も同じ頃にTBS『きのうの敵は今日も敵』(1995年)で主演をやってたんですよ。どちらもTBSだから緑山スタジオでの収録になるんだけど、緑山っていくつかスタジオがあって。あっちのスタジオで壱成、こっちのスタジオで僕で、どちらも主演でしょう。すごいことだし、僕が20年ぐらいかかったところを、壱成は2年ちょっとでやってのけてしまったんだなって。
あの頃、テレビを見ていたら「今週、すごいことがあった人」と聞かれたらキムタクが手を挙げて、「俺、いしだ壱成と遊んだんですよ」と話して、まわりが「うわぁ、すごい」なんて湧いてるんですよ。そんなのを偶然見たんだけど、僕はキムタクもすごいと思ってたから「壱成、たいしたもんだな」って驚きましたけどね。
でも、1年やそこらでそうなってしまったからこそ、罠もいろいろ出てくるんですけどね。
最近は「ロバート・デュバルになれ」と助言
ーー壱成さんも、なにかと注目を浴びる方ですよね。
石田 いろいろとね。いまはギリギリ食っていけてるみたいですけど、そもそも考えが甘いっちゃ甘いところもあるから。そこらへんが心配ですけど、いい意味で役者バカなんで、そこでやっていけるとは思うし、やっていってほしいです。
ただ、年齢もアレだし、メンテナンスも悪いから。
ーートルコで植毛して話題になっていました。
石田 最近は「ロバート・デュバルになれ」って、ずっと言ってるんです。デュバルなんて若い頃から髪がなかったけど、渋くていい役者でしょう。「髪の毛とかなくなっても大丈夫だから。関係ないんだから」と言ってますよ。
まぁ、ほんとはロバート・デュバルじゃなくて、ロバート・デ・ニーロになってくれたほうがありがたいんだけど。
男性からは「どうやったらモテるんですか?」とよく聞かれる
ーー石田さんは、「この人みたいになりたい」といった俳優はいたのですか。
石田 森雅之。高峰秀子さんとやった、成瀬巳喜男の『浮雲』(1955年)とか抜群でしたね。もちろん、黒澤明の『羅生門』(1950年)も凄かったし。あと、溝口健二の『雨月物語』(1953年)。あれの森雅之も良かった。
まぁ、目指すところはそこでしたけど、あの人が滲ませていた陰みたいなものを、僕は人生で背負ってないですから。森雅之って、作家の有島武郎の息子でしょ。知性のDNAはハンパない上に有島武郎は愛人と心中してますから。そういう陰は僕にはないですよ。
ーー陰と言われるとそうかもしれないですね。石田さんは『愛と平成の色男』というタイトルの映画に主演しているくらいですから。お話をうかがっていて、令和の時代でもモテそうなパッとした雰囲気を漂わせているといいますか。常に“モテ”は意識していますか?
石田 してないです。でも、男性からは「どうやったらモテるんですか?」って、よく聞かれますね。早稲田大学でモテの講義をやったことがありますし。
写真=志水隆/文藝春秋