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例えば、友人の結婚式で感動した今田を「芝居が上手い」と茶化し、新郎新婦や親族をこきおろす友人たちが登場する。確かに結婚式が“幸せな雰囲気”を押し付けるという側面はあるかもしれないが、その帰り道にここまであからさまな悪口を言う人たちはどれ程いるのだろうか。
美人の今田に面と向かって「引き立て役になるのは嫌」と強い言葉で拒絶した友人の話が語られるなど、感情自体はわかるがあまりにも悪役として描かれすぎていると感じる場面が多い。
「仲間とは距離感ゼロ、仲間以外には一切踏み込ませない」
もう1点筆者が気になったのは、他者との距離の詰め方に戸惑う4人の主人公たちが、ひとたび心を開くと一気に「距離感ゼロ」になる描写のリアルさだ。それが強く出るのが、松下の家に4人が集まるシーンである。
松下の家に空き部屋があるから「住める」と友達を飛び越えて同居するような親密感を口にしたり、インターフォンが鳴った際に忙しそうな松下の代わりに出たり。訪ねてきたのが松下が別れた元婚約者(臼田あさ美)だと知ると、本人の目の前で合掌するなど、4人の間でしか通じない「身内ネタ」を躊躇なく押し付けたりする。
その後も松下と元婚約者の込み入った話をのぞいたり、元婚約者が座ったイスを「私の席」と呟くなどやりたい放題。
これまで心を許せる相手がいなかった人々が、「許された」と感じた瞬間に距離感をゼロにする水を得た魚感というか、その極端さがあまりにリアルで生々しい。この「他者の目」を一切気にしない様子の生々しさに、見ていて気恥ずかしくなる人も多いだろう。
この「仲間とは距離感ゼロ、仲間以外には一切踏み込ませない」雰囲気は、筆者も見ていて引っかかってしまった。