幼い頃から2人組を作るのが苦手だった、交際していた女性と結婚直前に別れを告げられた、友達は多いが1対1で向き合ってもらえなかった……。
それぞれ理由は異なるが「2人組」という単位の特殊性と難しさが、エピソードの「自分語り」によって、延々と積み重ねられていく。
たしかに夫婦を筆頭に「2人組」という単位は特別扱いされがちだし、体育の時間の「2人組作って」は多くの人のトラウマになっている。
「2人組、私も本当に苦手だった」「二度と会わない人にだったら気楽に話せる」
ドラマの中でも、「2人組」を強いられることのプレッシャーや居心地の悪さ、ストレスが繰り返し強調される。
一緒にいる相手を見つけられないから教室移動のある教科が苦手、初対面で二度と会わない人とのコミュニケーションは楽だから毎回違う美容院に行く、婚約者に嫌われない配慮をしすぎて、好かれる努力が足らずにフラれる、などなど。
これらの描写や登場人物たちには、「こういう人、確かにいる」と思うリアリティがある。そのあまりのリアルさに、SNSでは自分自身の現状や経験と重ね合わせて自分語りを始める人も多い。
「2人組、私も本当に苦手だった」
「大人になってからもやっぱり2人組って苦手」
「初対面で二度と会わない人にだったら気楽に話せるの、わかりすぎる」
自身のモヤモヤした思いが言語化され、それを「自分語り」することでスッキリする人も多く、一部では「カウンセリング系ドラマ」とも言われている。視聴率は振るわなくとも、SNSに圧倒的強さを見せるのは、こうした「自分語り」を誘発する作品という要因が大きいだろう。
しかし、『すき花』の登場人物たちの悩みに共感する絶賛派がいる一方で、ドラマの中で延々と展開される「自分語り」に苦手意識や抵抗感を抱く人たちもいる。
その多くが言及しているのが、「2人組になれなかった4人」の周囲にいる「2人組になれた人々」があまりに露悪的かつ否定的に描かれていることだ。