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言葉数を多く入れられるのがラップの強み

――「ネクター」はお父さんに対してもわりと辛辣ですよね。

アフロ 厳しいよね。ワハハ。厳しいんですよ。

――曲中で「欠けてく 壊れてく 離れてく それでも家族」と家族崩壊も歌っています。歌詞の中でお母さんは家を出て行ったとありますが、今もですか。

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アフロ 今も。今が一番大変なことになってる。でも家族としての崩壊が、個人の幸せに繋がることもあるから。だから鎖を断ち切るのも悪くないというか。まあ、ある人にとっちゃしんどいからその人に寄り添おうと思うし。

©佐藤亘/文藝春秋

――今、現在の家族への思いをまたどこかのタイミングで曲にしますか。

アフロ そうですね。1個、既にできてるフレーズがあって。それを書くんだろうなと思うんだけど。それが歌えたらいいです。きっと思いが追いついたらですね、きっとね。

 家族に対しては、ありとあらゆる感情がありません? だからこれまでの音楽の歴史で家族の歌は、ちょっと極論で作りすぎてきたんですよね、たぶん。ほとんどが感謝に振り切った「俺を守ってくれるもの、母ちゃんありがとう」みたいな極端なものだった。

 でも、家族ってもっともっときめ細やかなものだから。家族だけじゃなくて、恋人とか夢もさ、いろんな側面があるじゃないですか。もっともっと丁寧に歌ったら、本当にいろんな部分があるんだけど、歌ってやっぱりね、言葉数が限られるから。そこをちゃんと歌っていけるのは、言葉数を多く入れられるラップの強みだと思う。

©佐藤亘/文藝春秋

一番のポップスは「でもそうじゃない日もあるよね」

――「ネクター」は断罪もしないし、優しくまとめもきらないというところで、バランスが取れた歌だと思います。アフロさんは極論にいかないというか、一回極論にいこうとする自分と、それを戒める自分が常に戦ってますよね。

アフロ そうですね。そこが俺が持っている唯一のポップスの部分だと思う。俺の解釈だけど、共感になるんです、ポップスって。「わかる」とか、「だよね」なんですよね。極論もポップスになり得るんだけど、一番のポップスは「でもそうじゃない日もあるよね」なんだよね、やっぱり。