ラップの感覚でやると滑舌が良すぎちゃうのが難点
――アフロさんには俳優や映画監督の友人もいますが、アドバイスなどはもらいましたか。
アフロ (竹原)ピストルさんに相談しましたね。「役者のギャラってどれぐらいですか?」って聞いたんですよ。そしたらピストルさんがね、ゆっくりと「アフロね、そういうもんじゃないんだよ」って。ワハハ。「台本読んで、いいなと思ったらそういうこと関係なしにやっぱりやってるよ」っていう話をしてくれて。
東出(昌大)君にも話したら「よかったら、うちに来てちょっと合宿する?」と言ってくれたんだけど、タイミング合わなくて。ただ共演者の方との稽古はよくしました。呉城久美さんとカラオケボックスに行って、もうひたすら台本読み合わせをしてました。
とにかくラップの感覚でやると滑舌が良すぎちゃうんです。他の役者さんは稽古の時に「もっと滑舌良くして」って言われるのが決まり文句らしいんですけど、俺は逆で。とにかくもう滑舌を悪くしてくれって。今回は方言だから助かりましたね。
上京して気づいた、自分の至らなさ
――演じたアキラは田舎の離島で鬱屈した気持ちを抱えていて、それはアフロさんの原点である長野県の村にいたときの閉塞感、嫌で嫌でしょうがなかったことと重なります。
アフロ まずアキラは違う世界線の俺だって感じですね。あのまま村に残ってたらこうだっただろうなとか。俺自身も田舎で山に囲まれて、ここから出たいと思って東京に出た。嫌なことは全部、村のせいにしてたんですけど、東京行ってようやく「ああ、村のせいでも山のせいでもなくて、俺が至らないから全部うまくいってなかったんだ」と気づく。
じゃあ山じゃなく、何が自分を囲い込んでいたのかっていうと、自信のなさだったり、人間的な弱さだったり。その気持ちから出ていくぞっていう感覚は、上京してからも、なんなら今もあります。
気持ちの意味で、そこから出られないなという気持ちは実はどんな環境の人でも、みんな共感できるシチュエーションなんじゃないかなというふうに思いますね。
ーー映画「さよなら ほやマン」は家族の物語でもあります。アフロさんは家族をどういうものと捉えていますか。