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「スイスでの安楽死も考えたよ。でも…」末期のすい臓がんを公表した叶井俊太郎(56)が明かす、現在の心境〈体重は30kg減〉

叶井俊太郎氏インタビュー#1

2023/11/09
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ーー177センチで58キロとなると、動くのって。

叶井 キツいよ。だから、帰りはタクシーだよ。朝は電車で会社まで来てるけど。でも、急に倒れるかもしれないからヘルプマークをカバンにつけてるよ。ネットで買った。

ーーたしかに調子は悪そうだけど、声はメチャクチャ出てますよ。

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叶井 そうね。そこは変わんないよね。

肝臓に転移してるっぽいと言われた

ーー『エンドロール!』で何度も「死ぬのは怖くない」と話してますが、叶井さんは死ぬことよりもその間際に出てくる痛みに襲われることが怖いわけですか。

叶井 そう、痛くなるのがものすごく嫌なの。いつ痛くなるかは事前に分からないらしくて、一応痛み止めをもらったけど、どうなんだろうね。痛くなったら……すい臓がんの痛みって、メチャクチャヤバいらしいんだよね。いろんな病気のなかで一番痛いんだって。

 

ーー背中にドンッて来るって聞きます。

叶井 背中ね。あと、腹。

ーーX(旧Twitter)で、「肝臓に転移してるっぽい」とポストしてましたけど、さらに骨とかにも転移する可能性もあるのでしょうか。

叶井 転移する可能性は、骨もあるし、脳もあるよ。肝臓にも転移してるっぽいと言われた。すい臓がんはステージ4で、腫瘍はかなりでかくなって10センチ以上はあるらしい。ちゃんと調べてないからわからんけど。

本を出版したタイミングでボーンッて死ぬ予定だった

ーー叶井さんがプロデューサーを務めた『恐解釈 花咲か爺さん』のエンドロールに「叶井俊太郎に捧ぐ……」と入れると話していましたが、映画は10月27日から公開中で、現在もこうして取材を受けてます。

叶井 だから、その文言は入ってないよ。その次の12月8日に公開される『恐解釈 桃太郎』に入れてもらおうかなと思ってるけど。毎月、俺のやった映画があるからそのへんは心配してない。

 俺的にマズいのは、こうやって本を出したじゃん。このタイミングで死にたかったのよ。バーンッて出して、ボーンッて死ぬ予定だったの。

ーー簡単に死ねない。

叶井 死ねねえんだよ。困ってんだ、俺も。余命半年から1年って宣告されたのに、「死んでねえじゃん」と。死んでない間に本が出ちゃった。

 もうさ、昨日病院に行って緩和ケアの人にも言ったのよ。安楽死できないのは知ってるから、痛くなったら治療しないでモルヒネ大量に打って意識を無くしてどうにかしてくれと。

ーー当然、やってくれないですよね。

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