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「ヴェネツィアでは、映画に携わるすべての人たちが祝祭されている感覚が本当にあった」森山未來(39)が見つめる“映画界の現状”

森山未來さんインタビュー#2

2023/11/11
note

面白そうってまずは動く、目的や整合性は後付けです

――アーティスト、役者以外での「森山未來」さんといえば、2021年の東京オリンピックの開会式での鎮魂の舞に圧倒された人も多いと思います。

森山 あれをやると決めた理由はさまざまあるんですけど、自分のなかでは筋が通っているつもりです。2021年の開会式が終わったら、たまたまオファーが続いていたこともあり、神戸にくることになっていましたね。

©榎本麻美/文藝春秋

――森山さんは一年を無駄にしないというか、つねに目的地を設定して、前に進んでいかれる印象があります。

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森山 いや、目的みたいなものを口にすることがあるとすれば、それはどちらかというと後づけかな(笑)。出会いがあって、面白そうってぱっと動いたあとに、なんで自分はこれをやっていたのかということを後から考えてみるとか。それを言語化して、自分のなかで整合性をとっていくというか。全てではないですが、自分のなかでこうしたかったからこうしたんだなっていうのを、後から自分で気づいていくことが多い。

 自分からこれをやろうと能動的に動いた大きなもののひとつが2013年、29歳から30歳にかけてのイスラエル滞在だったんですよね。その次でいうと、2021年のオリンピックが転機にはなっているのかなと。まぁこれは純粋な能動性だけではなかったかもしれませんが、いずれにせよ、イスラエルに続いて自分から動いた瞬間だったんだと思います。

――来年には、40歳になられます。誰かに何かを受け渡す、ということを考えることはありますか?

森山 あまり考えてないですかねぇ。自分で面白いと感じるものを大事にしたいけれど、知らないものももちろんあるし、今の自分の感覚だけが必ずしも正しいと思わないので、受け渡すというよりも、世代に関係なく単純に面白い人たちと関わって表現に繋げていきたいだけですね。

撮影 榎本麻美/文藝春秋

プロフィール
もりやま・みらい/1984年8月20日生まれ。兵庫県出身。幼少期よりさまざまなジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年、文化庁文化交流使として、イスラエルに1年間滞在。ダンサー、俳優、アーティスト、表現者として、領域を横断しながら国内外で活動を続けている。2022年4月には神戸市中央区北野町に「Artist in Residence in KOBE(AiRK)」を設立し、運営に携わる。2023年度からAiRKに滞在する作家による展覧会プログラム「AiRK Research Project」をスタート。自らキュレーターを務め、第1回目となる「北野光遊浴 KITANO Optical Wave Bathing」(11月4日~26日)では、18・19日に現代美術家・久保田沙耶とのパフォーマンスイベントを開催予定(https://www.instagram.com/airk.kobe/)。11月25日公開予定の出演映画「ほかげ」(塚本晋也監督)は、第80回ヴェネツィア国際映画祭でNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。フジテレビ系ドラマ「パリピ孔明」に出演中。ポスト舞踏派。

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