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「おすし」が服を選ぶ、散髪する、車に乗る、家具を買う…発売から1年、今も売れ続けているミニチュア写真絵本の“人気のワケ”は

『おすしが ふくを かいにきた』(田中達也 著)――ベストセラー解剖

2023/11/14
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『おすしが ふくを かいにきた』(田中達也 著)白泉社

 著者は、食べ物や文房具などありふれた物を別の物に見立ててミニチュアを撮影し、2011年から毎日かかさず作品をインターネット上で発表している。インスタグラムのフォロワー数は380万人に迫る勢いで、各地での展覧会も大盛況。国外にもファンが多い。2017年に放送されたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバックなどで作品を目にしたことのある人も多いのでは。

 近年は活動を絵本の世界にも広げており、本書はその2作目にあたる。擬人化された寿司がブティックで服を選ぶようにネタを見繕う。同様に擬人化された鉛筆は床屋で散髪のように頭を削る。ソーセージはパンの車にホットドッグのように乗り込み、果物たちは、スイーツが並ぶ家具店でふかふかのケーキのベッドを物色……。可愛くて不思議な、細部までこだわり抜いたビジュアルは圧巻だ。

「泉のように湧き出る著者の膨大なイメージの中から、お買い物や好きな食べ物など、子供に好まれる要素を選りすぐりました。絵本にしては長い32ページの分量を飽きずに読み切らせる、お話の構成力にも唸らされましたね」(担当編集者の森下訓子さん)

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 発売から1年以上経った今も一定のペースで新しい読者に発見され続けている。ヒット絵本にはロングセラーが多いが、このままその仲間入りを果たしそうだ。

2022年10月発売。初版1万7000部。現在6刷6万8000部
「おすし」が服を選ぶ、散髪する、車に乗る、家具を買う…発売から1年、今も売れ続けているミニチュア写真絵本の“人気のワケ”は

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