彼が小学1年の時に、物語を創作する作文を書きました。決して難しい言葉を使っているわけではなかったのですが、言葉の選び方と、その組み合わせのおもしろさを読んで、よくこんな言葉を紡げるなと率直に驚いてしまって。親バカかもしれませんが。
日々の細かな気づきをアプリに記入
――小3で中学卒業レベルの数学ができるとなると、そちらの方に目が行きがちですが、赤平さんの目線は違ったんですね。
赤平 僕もはじめは数学が得意なタイプだと思ってたんです。でも、アナウンサーという職業で20年以上、言葉のプロとして生きてきた自分が嫉妬するほどの文章を書けるのは普通じゃない、と感じました。この能力が記述問題の多い麻布の受験にハマれば、ものすごく点数が伸びるのでは? と思いました。
あと、親は、子どもの体調の異変にすぐ気づくじゃないですか。それと同じで、ずっと彼を見てきているから、子どもの関心とか熱意なんかもわかるのかなと思います。そこは発達障害のこともあって、僕は彼が小さい時から「100年日記」というアプリを使って日々の細かな気づきも書いていたので、そんなことも役立っているかもしれません。
「インクルボックス」で得た知見を活かして受験対策
――とはいえ受験2ヶ月前から麻布の対策をスタートということで、勉強法にも工夫が必要だったのでは。
赤平 ADHD(注意欠如・多動症)のある息子は座って勉強に集中することがむずかしく、時間の感覚もうまくつかめないので、小学1年の頃からタイマーを使って時間を見える化したり、ホワイトボードに「その日にやる勉強」を書いて短期目標を見える化するようにしていました。
いざ麻布受験を決めてからは、2か月しか時間がないので、発達障害の息子の特性を最大限に活用した勉強法にする必要がありました。幸運だったのは、私が「インクルボックス」の活動をしていたことです。「インクルボックス」は膨大な量の発達障害の知見や専門家の意見を短時間動画に集約したものなので、自然と私自身に「発達障害の息子に合った勉強法」が蓄積されていたんです。
その上で、よくよく話を聞くと息子は、問題に対する答えは頭の中にあるけれども、それを言葉として構成して書いていく作業が苦手であることがわかって。発達障害の凸凹でいう「高い思考力」と「処理の苦手さ」の影響で、答えはわかるのに文章が書けないという現象になっていると考えました。であるなら、暗記といった知識量を上げる方向は一切捨てて、自分の思考を文章として紙に落とし込む“練度”を上げることに賭けたんです。