元テレビ東京アナウンサーで、現在フリーアナウンサー、ナレーターとして活躍する赤平大さん(45)は今年4月、発達障害と高IQの特性を持つお子さんが、偏差値50台から名門・麻布中学に合格したことを公表した。
突然判明した、我が子の「特性」。最初は「発達障害ってなに?レベル」だった赤平さんは500本の論文を読んで知識を深め、支援のための資格を取得した。そして現在、発達障害・ギフテッドに特化した動画メディア「インクルボックス」を立ち上げ、息子の中学受験に活用した知見や支援情報などを提供している。息子の支援に始まり、政治にも声を届けるまでに至った歩みを聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)
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本命は横浜にある発達障害に手厚い私立中だった
――入試2か月前に受験を決めたお子さんが名門・麻布中学に合格しました。お子さんは発達障害と高IQ、ふたつの特性を持つ「2E」(twice-exceptional)ということですが、もともと勉強は得意だったのでしょうか。
赤平大さん(以降、赤平) ご質問のように「入試2か月前に受験を決めた」と記事に載ると「たった2か月の勉強で麻布に合格した」と誤解されるんです。正しくは「1年生の時からちょっとずつ先取り学習をした」「発達障害の特性で1日に集中できる勉強時間は1時間程度だった」「本命は横浜にある発達障害に手厚い私立中だった」「入試の2か月前に麻布も受験することにした」なんです。
うちの子の場合、暗記と数学は非常に得意で、小学1年からコツコツと算数検定の勉強をした結果、小学3年の時点で中学卒業水準とされる数学検定3級に合格しました。4年の頃には小学校卒業までに必要な学習はすべて終えている状態でしたが、発達障害というのは得意不得意の凸凹が激しいのです。その凹の部分として、文字や文章を書くこと全般が苦手でした。
入試の2か月前に息子から「麻布受験をしたい」と聞き、ネットで急いで情報を集めたところ、麻布の試験は開成などに比べても記述式が多いことが特徴で、思考力を問うものが多いと書かれていました。つまり「暗記問題より記述問題の配点が高い」のだろうと。それがわかった時、あと2か月しかなくて記述は苦手だけど、もしかしたらいけるかもしれない、と思って。
息子の非凡な文才に驚き
――お子さんは、数学は得意で国語が苦手ということかと思ったのですが、麻布の試験はむしろ逆では。
赤平 たしかに息子は、決められた文字数にきちんと収めるというアウトプットは苦手です。でも私は、思考力という本質の部分でいえば、むしろ彼に非凡な文才を感じていたんです。