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《埼玉本庄5歳児虐待死》「警察に疑われた」元内縁夫の“アル中死”、「チーン合掌」“義母”は床下で白骨化、「捕まりたくない」父は自殺…〈懲役15年求刑〉石井陽子が支配した“死を招く家”に塗り込められた謎

埼玉本庄5歳児虐待死公判#11

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

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 2022年1月、埼玉県本庄市の借家で柿本歩夢くん(当時5)が虐待死し、床下に埋められた事件。傷害致死、死体遺棄などの罪に問われた実母の柿本知香(32)、無職の丹羽洋樹(36)と石井陽子(56)――3被告のうち、犯行を主導したとされる石井の裁判員裁判が11月16日、さいたま地裁で結審した。検察側は「被告の指示が全ての発端。最も重い責任を負う」として、石井に懲役15年を求刑している。

 石井が罪に問われた12の事件のうち最初の1つが、元同居人の死を隠し、年金など合計約1150万円を不正受給していた詐欺罪だ。これまで現場の家に暮らした住人で、実は歩夢くんが “4人目”の死者。この“死を招く家”の支配者こそ石井だった――。

石井陽子被告(ANNより)

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虐待死事件の現場となった家賃3万9000円の「死を招く家」

 酸鼻を極める虐待死事件の現場となったのは、かつて駄菓子屋が営まれていた築50年余の木造2階建ての一軒家。2010年2月、家賃3万9000円で賃貸契約が結ばれた。所有者によれば、入居予定者は老齢の男女、40代の男女の4人だったという。

 複雑怪奇な相関図を整理すると、老齢男性は元競艇選手で石井の父・中川真史さん(仮名)、40代男性は、石井の元内縁の夫だった大澤聡さん(同)、老齢の女性が、聡さんの母・大澤優子(同)さんである。残る40代女性が、聡さんと優子さんの大澤姓を名乗っていた石井。そして、石井以外の3人は、順次この世を去っている。

「死を招く家」の複雑な相関図

 2013年11月、まず聡さんが死亡。

「あの家には以前からよく救急車が来ていました。中川さんによると、聡さんは酒の飲み過ぎで死んだと。ただ、聡さんが亡くなった時間と救急車を呼ぶタイミングにズレがあったらしく、中川さんは『警察から疑われている』とこぼしていました」(近隣住民)

魔女は19歳で結婚。しかし、1998年に夫が他界…

 聡さんはもともと、埼玉県川口市内の小学校で石井と同級生だった。石井は19歳の時、父の中川さんに師事する年上の競艇選手と結婚したが、1998年に夫が他界。地元住民によれば、自殺だったという。

 石井が次に目をつけたのは、優子さんと亡くなった夫が養子として育てた聡さんだった。

「陽子は彼に近づくために小学校の同窓会を企画しました。聡くんは大人しい子で、実家が裕福だったから、資産目当てだったんだと思います。同窓会で彼と再会した後、2人は駆け落ちしています。聡くんのお父さん(優子さんの夫)が亡くなった時、お葬式で陽子がちゃっかり親族席に座っていたと聞いて、2人は再婚したものと思っていました」(石井の同級生)

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