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《埼玉本庄5歳児虐待死》「警察に疑われた」元内縁夫の“アル中死”、「チーン合掌」“義母”は床下で白骨化、「捕まりたくない」父は自殺…〈懲役15年求刑〉石井陽子が支配した“死を招く家”に塗り込められた謎

埼玉本庄5歳児虐待死公判#11

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

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義母の死を隠し続けた石井

 年金詐欺に関連して、優子さんの死亡手続きをしなかった理由を問われた石井は、法廷でこう答えるだけだった。

「言えません」

 一方で、石井の裁判に証人として出廷した丹羽は、同じ問いに対して、同居人の間で次のようなやりとりがあったことを明かしている。

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中川「捕まりたくない」


丹羽「俺には関係ないよ」


石井「おじいちゃん(中川さん)の言うことに納得してやってよ」

 丹羽は石井からそう言われ、死亡手続きをしないことに同意したという。

 中川さんが優子さんの死に関係したようなニュアンスにも受け取れるが、当時、石井は丹羽の親友Aさんに「丹羽が優子さんの首を絞めてしまった」と説明していた。

現在の事件現場。地中からは歩夢くん(当時5歳)の遺体が発見された ©文藝春秋

「石井は丹羽に内緒だと言って連絡してきました。ただ、優子さんは生きていて、自分の知り合いの病院に入院させていると。その連絡以降、本庄の家に遊びに行っても、彼女の姿を見かけることはありませんでした」(Aさん)

 石井の養父だった中川さんは、小柄で大人しい老人だったという。石井の実家があった川口市のマンションの住民が振り返る。

石井陽子被告

「中川さんは競艇選手を引退した後、土木関係の仕事をしていました。結婚した奥さん(石井の実母)はスナックのママ。気性が激しい人で、中川さんが家を追い出されたことがありました。十数年前、中川さんは『もし妻に聞かれても、どこに引っ越したか言わないで』と言い残し、マンションを売っていなくなりました」