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 自分は一度決めたら、行動を起こさないと気がすまない性格です。

 まずは、その年の春から働いていた運送会社を辞めました。一度リセットして、手術のことを調べることに集中したかったんです。

 そして男になる方法を片っ端から調べました。

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当事者だけど「LGBTQ」を理解していなかった

 まずはLGBTQについてからです。実は自分は当事者であるのに、正直、LGBTQのことをあまり理解していませんでした。「自分は自分だから」という気持ちがあったので興味が持てなかったというか……。

 このLGBTQについて説明しますと、女性同性愛者のレズビアン(Lesbian)。男性同性愛者のゲイ(Gay)。異性でも同性でも恋愛対象になるバイセクシャル(Bisexual)。そして、これは自分に当てはまるのですが、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なるトランスジェンダー(Transgender)。少し前までは、この4タイプの性的少数者(性的マイノリティ)の、それぞれの頭文字を取って「LGBT」と呼んでいました。

 近年では、ここに「Q」を足した「LGBTQ」がポピュラーになっています。「Q」には「クイア(Queer)」、あるいは「クエスチョニング(Questioning)」という意味があります。簡単にいうと、自分の性別が男性や女性といった特定の枠に収まらないと考えたり、自分の性別がわからないと思う人が当てはまります。

 そのほかでは、「LGBTQ」に属さない性自認もあるため、「LGBTQ+(プラス)」という言葉もあったり、「LGBTQ」の代わりに「SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity=性指向と性のアイデンティティ)」といった表現もあります。

 

 さらには、最近、アメリカのパスポートの性別欄に採用されることで注目された「Xジェンダー(自身の性を男女いずれかに限定しない性自認)」、恋愛的に他人に興味・関心を抱かない「Aロマンティック(アロマンティック)」、性的な興味・関心を持たない「Aセクシャル(アセクシャル)」、性的思考が性別にとらわれない「パンセクシャル」などなど、性的指向はいまや幅広いものが認められているんです。

 では、そうした性的マイノリティの人たちはどのくらいいるのでしょうか。資料によって数字は異なるため、かなり幅がありますが、性的マイノリティの人口は総人口のおおむね3~10%にはなるとされています。