これは中国スパイの常套句だが、加えて、協力の謝礼も出すと伝えれば、拒否する人はほぼいない。そして女性は、パーティの席やバーでターゲットに自然な形で接触して、デートに持ち込んでいく。
こんな例もある。2007年から営業していた京都の祇園にあった中国人クラブは、中国スパイ活動の拠点となっていた。この中国人クラブの当時31歳のホステスが、常連の陸上自衛隊桂駐屯地の当時53歳の陸曹長と偽造結婚していたとして、公正証書原本不実記載・同行使で逮捕された。
実はこのクラブには、親族に共産党員の幹部がいるとされたママと、若いホステスが7~8人在籍しており、人気店になっていた。京都のハイテク企業幹部や自衛隊桂駐屯地の幹部も足繁く通っていたという。企業幹部は、自社製品の情報や人事情報をホステスに見せていたことも判明。ところが、産業スパイ行為については、ホステスが頑なに否定したことで立件はできなかった。
「好みの女性は?」と聞かれたので、有名女優の名前を答えると…
他には、日本の有名女優似の中国人女スパイが現れたこともある。某省庁の高級官僚が知人に連れられて、新宿区内にある中国人パブで飲んでいた。官僚はママに名刺を渡し、その際に「好みの女性はどんな子?」と聞かれ、有名女優の名前を答えた。すると、半月ほどして職場を出たところで、その女優似の女性にぶつかり、お互い「すみません」と言い合って別れた。そしてその数日後には、近所のコンビニで、再びその女性とばったり出会ったのである。また次の日には、近所のファミレスでも姿を見かけ、最後には職場の正門でも出会ってしまったというのだ。
そこで彼は怖くなって、知り合いだった私のもとに相談を寄せてきた。私は「ハニトラだから、誘われても接触するな」と、警戒を促した。そして外事警察がしばらくこの官僚の様子を見張っていたところ、案の定、その中国人女スパイが現れたという。彼女を尾行すると、中国人留学生だったことが判明した。