馳浩を叱っているが、その行間からは、森喜朗が可愛がっているから大目に見てきたけど本当は苦々しく思っていたという部分もみえる。「お前は森喜朗の虎の威を借りていつも調子づきすぎだぞ」という。
ちなみに馳知事は石川テレビの制作のドキュメンタリー映画『裸のムラ』(五百旗頭幸男監督)について、自身や県職員の映像が無断で使用されていたとして、「肖像権の取り扱いについて、倫理的に納得できていない」と文句をつけている。そのうえで石川テレビの社長と議論の場を持ちたいとし、定例会見を拒否している。
ところがだ、北國新聞によれば馳はこれまで職務中に県職員や記者らの話題を許可なく書いてきたというではないか。言動がめちゃくちゃである。そして北國新聞の政治部長さんは馳浩のこういう尊大な振る舞いをなぜ見逃してきたのか? 後見人が森喜朗だからか?
怒りの角度がひと味違う
政治部長のコラムはさらに読みどころがある。馳の今回の発言は、
《当時の安倍派会長として馳氏の初当選のため尽力した安倍氏への恩を、あだで返すことにならないか。》
と書いているのだ。機密費で五輪買収という件を追及するのではなく「恩をあだで返す」ことを叱っている。すごい、怒っている角度が違う。コラムには森喜朗の名前が出てこない。馳が恩をあだで返したのは森喜朗も同様だろうに。「森喜朗の五輪」検証を再燃させないための配慮を感じる。さすが政治部長!
そして北國新聞の1面コラム「時鍾」にも驚いた。11月22日分で馳発言を取り上げているのだが、
《「機密」を口にしたら身も蓋もない。触れない方がいいことには触らない。伏せておくことは、しゃべらない。それで世の中は成り立つ。》
と書き、「それを言っちゃあ、おしまいよ」と映画「男はつらいよ」の寅さんのセリフを引用していた。叱り方の角度が違う。ヤバい!