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タメ口、寝坊、上から目線…「私、爆笑問題のことナメてます!」くりぃむしちゅー上田晋也が明かした“爆笑問題”との“奇妙な関係性”

『赤面 一生懸命だからこそ恥ずかしかった20代のこと』より #1

2023/12/03
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ゴルフでまさかの大遅刻ふたたび

 その数年後、また田中さんと私と、今度は前とは違うスタッフ計4人でゴルフに行くことになった。この時は、田中さんは普段車を運転してもらっているドライバーさんにゴルフ場まで送ってもらうとのことだったので、待ち合わせはせず、それぞれゴルフ場に直接行くことになった。前日の夜、いつものように着替えや道具などをちゃんと準備をし、5時45分に目覚ましをセット。いつもより早めに就寝して翌朝に備えた。

 次の日、アラームが鳴るより先に目を覚ました。まだ眠たい目をこすりながら、サイドテーブルにある目覚まし時計を見ると12時半過ぎ! そんなわけはない。だってまだアラーム鳴ってないのだから。半信半疑の気持ちで携帯の電源を入れると、こちらも12時半過ぎを表示している。よって全信零疑。またやってしまった。速攻田中さんに電話。

「田中さん、ゴメン!」

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「アハハ、またやっちゃったねー」

「なんでだろう? 自分でも信じらんない」

「っていうか、今回さらに遅いじゃん!」

「ね?」

「いや、『ね?』じゃねーよ! 俺たちもうゴルフ終わって、お昼ご飯食べてるところ。ご飯だけでも来る?」

「誰がそんな遠くにご飯だけ行くかー!」

「アハハ、逆ギレしてんじゃねーよ!」

「いや、ホントーーーにゴメン! 申し訳ない!」

「まあまあ、また改めて行こうよ」

「スタッフにもお詫びしといてー」

「了解ー」

「すいませんでしたーーー!」

 今回も田中さんはずっとケラケラ笑うばかりで、まったく責めなかった。なんだろう、あの優しさ。祖父母か!

 

 田中さんはなんでも許してくれる。田中さんがサッカーの審判なら、手使っても許してくれるだろう。

 このエピソードを読む限り、私は寝坊の常習犯だと思われるかもしれない。冗談じゃない。私は目覚ましのアラームに気づかないことなどまったくない。前々著『経験』でニュージーランドで寝坊した話を書いたが、あれは目覚ましの時間設定を間違えたのであって、アラームに気づかなかったわけではない。アラームを知らず知らずのうちに止めて再び寝入ってしまったことなど、人生でこの二度だけだ。おそらく深層心理で、田中さんとのゴルフはブッちぎってもいい、と思っているに違いない。

 先ほど田中さんのことを尊敬している、と書いたが、あれもウソかもしれない。尊敬している人とのゴルフを休むだろうか? あり得ない。2月14日にゴディバが休む、みたいなものである。しかも2回も。多分、田中さんのことをナメているんだと思う。でもこれは深層心理でのことで、自分ではコントロールできない領域だから致し方ない。

 田中さんとの電話を切ると、(はぁー、またやっちゃったなー。でも今回も田中さんまったく怒ってなかったなー。っていうか、最後『また改めて行こうよ』って言ってたな? 2回もブッチされてまた行こうって気になるかね? 学習能力ないのかな?)などと考え、またすやすやと眠りに就いた。仏の顔は三度までらしいが、田中の顔は二十度くらいまでいけるんじゃないかしら? 今後も機を窺って試してみようっと。