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夫婦の上下関係が決まってしまう

こうして結婚生活が始まりますが、妻は「頭のいい人が私と結婚してくれた」と思っているため、ここで夫婦の上下関係が固定されてしまいます。そのため、夫は妻を見下して怒り、妻は夫におびえるという構図になってしまうのです。

先ほど書いた通り、夫は支離滅裂に怒っているだけなのですが、妻は「怒られるのは自分が悪い」「夫の言っていることがわからないのは自分の頭が悪いから」と、ひたすら自分を責めてしまいます。

誰かに相談して「そこまで怒られるのはおかしい」とアドバイスされたり、心身のバランスを崩したりして、ようやく自分が度を超えて怒鳴られていたことに気づくという流れです。

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「内弁慶モラハラ夫」は実際の能力に比べて自分自身をとても頭がいいと思っていますが、妻もまた、夫をどこか尊敬してしまっています。

そのため、「弁護士や裁判官も夫に言い負かされるかも」という、およそ夫の実像とはかけ離れた心配をしてしまうのです。

ひどい暴言を受けている人ほど、「夫には勝てない」と耐え続けてしまいがちなのは、夫婦がこのような関係性になってしまっているからなのです。

いい人を探したいと思っている時こそ、経歴だけで男性を選ばないことが重要です。大切なのは人間性です。交際中におかしいと思うことがあったら、冷静になって誰かに相談してみましょう。結婚に憧れるあまり「この人は運命の人」と思い込むと、大事なことを見逃す可能性があります。

堀井 亜生(ほりい・あおい)
弁護士
北海道札幌市出身、中央大学法学部卒。堀井亜生法律事務所代表。第一東京弁護士会所属。離婚問題に特に詳しく、取り扱った離婚事例は2000件超。豊富な経験と事例分析をもとに多くの案件を解決へ導いており、男女問わず全国からの依頼を受けている。また、相続問題、医療問題にも詳しい。「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)をはじめ、テレビやラジオへの出演も多数。執筆活動も精力的に行っており、著書に『ブラック彼氏』(毎日新聞出版)、『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(小学館)など。