一橋ビジネススクールで教鞭を執りながら、代表作の『ストーリーとしての競争戦略』を始め、軽妙な語り口で本質を突くビジネス書を世に送り出している著者。目下最新作にあたる本書は、Web媒体で連載された記事を「幸福の条件」「お金と時間」「友達」など複数のテーマに沿って加筆、再構成したもの。タイトルにもなっている「絶対悲観主義」は本の第一章に置かれたテーマで、全体の大きな基調を成している。何か物事を始めるとき、「うまくいかない」と常に悲観的に構えておくことのポジティブな効能を説いた内容は、著者流のユーモアの真骨頂。とはいえパッと見はギョッとするこのタイトル、なんと著者の提案だという。
「専門である経営学はもちろんのこと、さまざまなジャンルへの該博な知識や語り口も魅力の著者ですが、やはり一番面白い点は物の見方だと思うんです。『絶対悲観主義』をタイトルに提案されたときは、正直、編集部も面食らいましたからね(笑)」(担当編集者の田中浩史さん)
主な読者層は40~50代のビジネスパーソン。
「以前、五木寛之先生の『他力』という本を手掛けたことがあるのですが、『絶対悲観主義』にも近い感触を持ちました。本書も『他力』同様、ある程度経験を重ねて、人生のままならなさを知る人ほど、沁みる本なのかもしれません」(田中さん)