不肖・宮嶋、ハイマースの実弾射撃訓練を目撃
矢臼別演習場は道東最大都市釧路からさらに約2時間内陸に入った奥地にある。しかし日本ではここ矢臼別だけなのである。長距離砲やロケット弾の長距離で実弾射撃が可能なのは。前回の74式戦車の最後の勇姿の取材の際は駐屯地内、演習場でもなかったので、いくらはでな発砲炎見せても、耳をつんざく砲声響かせても所詮空砲である。ところがここ矢臼別では実弾なのである。
ここ矢臼別から南は日本最西端の与那国島まで、日本列島8カ所の演習場や離島を舞台にして、4000人の陸上自衛隊西部方面隊と3300人の米海兵隊員が参加した「レゾリュート(決意を持った)・ドラゴン23」作戦取材のため、不肖・宮嶋がやって来たのである。
このレゾリュート・ドラゴンは今年で3回目になるんやが、この訓練地域からして日本列島縦断である。昨年までは師団規模だったのが、今年は自衛隊は九州沖縄南西諸島まで含めた西部方面隊、カウンターパートの米海兵隊は沖縄に拠を構えインド・太平洋地域まで管轄する第3海兵遠征軍(3MEF)と過去最大規模なのである。さらに初めて陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」も参加するのである。ここ矢臼別演習場でも地の利をいかし、今もウクライナの地でウクライナ軍の主力長距離火砲となっている米海兵隊のHIMARSと日本側はHIMARSと同じ精密誘導型長距離ロケット弾を倍搭載できるMLRS(多連装ロケットシステム)の実弾射撃訓練を目の当たりに取材できるのである。
とはいうものの、一般的な火砲である155mm榴弾砲と違いバックブラスト(後方噴射)がすさまじいため、ランチャー(発射機)の側での撮影は叶わなかったが、それでも、シュバルツバルト(黒い森)ならぬ北海道の紅葉真っ盛りの「赤い」森から轟音と白煙を放ちながら飛び出るロケット弾を目の当たりにできるのは、昨今北のミサイルの発射映像ばかり見せられている日本人には実に頼もしい限りである。しかも北朝鮮のなんちゃって弾道ミサイルみたいにもったいぶって1発2発やないで。
5分とおかずに20発以上が北海道の大地に炸裂したのである。さらにはるばる九州から運んできた155mm榴弾砲(FH-70)や今年配備が始まったばかりの同じ155mm榴弾砲を背負うような見た目の19式装輪自走155mm榴弾砲の実弾射撃も実施された。この最新式の装輪自走砲、日本の防衛省が開発しときながら、砲を背負う形のトラックはドイツオリジナルである。それが半自動装填機能でどかんどかん撃ちまくるのである。50キロ近い成人の女性の体重ほどもある砲弾を30キロ近く吹っ飛ばす装薬量である。発射の度にすさまじい炎と煙をまきあげ、周囲が真っ白に霞むうえ、強烈な衝撃波に襲われる。しかしそれでいて目標の半径数十メートルのとこに着弾するというのである。そんな155mm砲も惜しげもなく、撃ちまくりよるのである。