他の薬物事犯とは違うのは、栽培していると、植物を育てるのと一緒で、思いが深まるのか、本当に丹精込めて育てているのがわかります。特に一人暮らしの大学生は、誰に監視されることもなく、抑止力が働かないので、どんどんのめり込んでいくようです。インドアのみならず、家の近くの空き地で大麻を栽培していた学生もいました」
断っておくが、大麻そのものは悪いものではない。古来から神聖なものとして、しめ縄などにも使われてきたし、織物としては「麻」「ヘンプ」として使われている。鳥のエサ、飼料や肥料、医療にも有効利用されているのだ。
脳の中枢神経を狂わせる大麻や強い市販薬のリスク
しかし大麻がなぜいけないのかというと、まずは大麻取締法で禁止されているからだ。薬物として使用すると、心身に有害で、自分一人では止められない依存性がある。大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が、脳の中枢神経系に作用し、知覚の変化、学習能力の低下、運動失調、精神障害が現れる。
使用すれば、酩酊(めいてい)感や陶酔感、幻覚をもたらすため、使用を繰り返すうちに自分の意思では止められなくなる。結果的に社会生活にも悪影響を及ぼすようになってしまう。
「大麻のありかたについては、世界でも議論されているところで、合法化している国や州もあるが、けっして自由化ではなく、アメリカでは幼児の誤飲などの問題もある」(瀬戸さん)
日本政府は、大麻取締法などの改正案として大麻の「使用」を禁止したが、大麻草が原料の医薬品の容認を閣議決定した。
一方、市販薬も一緒だ。法で規制されている、されていないはさほど関係ない。風邪薬の「金パブ」には興奮系と抑制系の物質が含まれており、興奮系のエフェドリンは覚せい剤の原料でもあり、副作用がある。
これまで大麻の売買などは、非公式にアンダーグラウンドでやっていたが、今では売人がネットで堂々と「大麻の農家さんとお付き合いさせてもらっている。皆様に良い品物を届けられるように精進します」と広告まで出しているのだという。広告に書かれた文言につられ、錠剤などに印字されたキャラクターは身近に感じられるため、若年層も犯罪の意識なく購入してしまう。