日大アメフト部の事件など、親元を離れて一人暮らしをする大学生は、薬物へのアクセスがしやすい。元マトリ(厚生労働省麻薬取締部)の瀬戸晴海さんは「スマホがあれば簡単に大麻などは買えるが、今、大学生の間で注目されているのが、自分で大麻を育てるという方法。罪の意識もなく、通常の植物栽培のようにハマってしまう」という――。
「関関同立」での調査で判明した恐るべき薬物蔓延の実情
関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の関西4大学は、2009年から、薬物乱用防止の取り組みとして「薬物に関する意識調査」を行ってきたが、2022年度の調査で、大学生のおよそ12人に1人が「大麻や危険ドラッグ等の危険な薬物を使用している人を直接見た経験がある」と答えている。
88.9%が「どのような理由であれ、絶対に使うべきではない」と回答しているものの、「使うかどうかは個人の自由」「使ってもかまわない」と答える人が一定数いる。さらに薬物入手に関しては「難しいが手に入る」「手に入る」と、38.3%が入手できると考えていた。その理由としては大半の学生が「インターネットで探せば見つけられると思うから」としている。
いま売人から買うよりも安全だとして注目を浴びているのが、大麻の栽培だ。栽培しているとの情報で内偵をすると、LEDで照らされたテントの中で大麻が40株以上も栽培されており、検挙された事犯もあった。また、ある大学のラグビー部の合宿所内のマンションでも栽培されており、部屋の押し入れの中で鉢植え栽培し、計16株が見つかった。
売人から買うより安全だと下宿先で大麻を栽培する大学生
元マトリ(厚生労働省麻薬取締部)の瀬戸晴海さんは大麻の栽培についてこのように語る。
「大麻の栽培は、ここ4、5年で大規模化しています。最初はネットで購入し、そのうちに大麻そのものに興味を持ちます。『大麻の世界は深いな』と……。栽培器具は専用のモノもありますが、ホームセンターで購入できるし、苗床を作って太陽光の代わりに蛍光灯や水銀ランプ、LEDライトなどを置き、温度調整し、扇風機で風を送るなどして育てています。まずは大型農家から種を購入し、そのマザーの木を栽培し、それを挿し木で増やしているのです。