もし子どもが薬物に手を出したらどうなるのか
しかし、摘発やタタキ(売人を狙った強盗)を恐れて、売人も場所を指定してくるようになったという。
「売人が逃げやすいように、駅前やコンビニなどを指定し、そこで売買が行われているケースが多くなってきました。家への直接送付ならば、レターパックか、宅配便で。大麻だとバレないように『ヤフオク商品』などと書かれていることが多いようです。
いまや誰でも売人になれるし、お金がなくなったら、ちょっと売ってみようかと考える若者も多いです。『1日1万円』のバイト感覚で薬物を売る。SNSに入ってみると、そんなバイト情報はあふれており、ネットと薬物が共犯関係になっているのが現状です。薬物問題は東京、大阪が主要ですが、地方のほうが栽培もでき、密輸もしやすい。全国どこでも販売は行われています。
警察やマトリでも積極的に相談を行っています。また地域の精神保健福祉センター、自治体の薬事課、保健所でも相談にのってくれるので、どうしたらいいかを相談することです。まずは治療の相談になります。相談しても、事件にはなりません。たいていの場合、逮捕されることはありません。逮捕はまた別問題なので、依存症にしないためにも、もし子どもの薬物使用に気づいたら、まずは治療に専念させることです」(瀬戸さん)
薬物依存症にならないため、まず治療に専念させる
病院に入り治療をし、施設に入って薬をやめる。出てきたときに生活環境を整えることが先決だ。交友関係を変え、薬物の危険がある繁華街に行かないようにするのは当たり前のこと。
「しかし、一人暮らしだった場合、手元にあるスマホを見たら、また薬物をやりたくなるのです。再犯再乱用につながりやすいリスクがスマホによって増えたと言っていいと思います」(瀬戸さん)
瀬戸さんが扱ったケースでは、まじめな女子大生が、友人からすすめられて旅先で大麻を体験。家に戻ってから「野菜、手押し」と検索してネットで購入していった。友人宅でマトリの捜索にも遭い、事情聴取も受け、いったんは依存症から脱却できたかにも見えた。ところが次に手を出したのは、市販薬だった。