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「お前、女だから名前売れてるだけだよ」

――アラスカから帰国後に、SIMI LABのメンバーと出会ったそうで。

MARIA アラスカに行くちょっと前に、メンバーだったDyyPRIDE(現:檀 廬影)と逆ナンで知り合ってたんですが、帰国後に「面白いヤツがいるから会ってみない?」と言って紹介してくれたのがOMSBとQNでした。

 それまでヒップホップの話ができる友だちがいなかったけど、そこではじめてフィーリングの合う仲間と出会えた感じで、すぐ一緒に曲を作ったんです。

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――ラッパーとしてデビューして、壁になったものはありますか。

MARIA 「お前、女だから名前売れてるだけだよ」って言われたことはあります。窮屈だな、と思いましたね。

 

――男性が多いヒップホップシーンでは、フィーメールラッパーであるだけで下駄を履かせてもらっているように見られてしまうと。

MARIA ヒップホップだけじゃなく、芸事の世界では、女性というだけで下駄を履かされることもあるし、逆に厳しく見られるところもあるように思いますね。

 あと、自分の20歳の頃の写真を見ると今より全然細いんですけど、昔から体型のことはずっと言われ続けてます。

――スキルよりも容姿に着目されがち?

MARIA そうです。PVのコメント欄でも、「OMSBのラップヤベえな」「QNうまい」「MARIA痩せた?」みたいな。それはたくさんある愛のメッセージの中のほんの一部のディスかもしれないけど、結局そこか、みたいな気持ちになりますね。

――相手に身体的なことをぶつけるというのがちょっと……。

MARIA 私は絶対に人の見た目のことは言わないし、そもそも他人に全然興味ないんで、本当に不思議ですね。「整形」とかもよく言われるんですけど、隠すことは何もないから、何でも話してあげるよって感じで。単純に好奇心だったり、ストレスが溜まってるとかあるんでしょうけど、「はけ口になるならどうぞ。私にはそれくらいの受け皿はありますよ」って感じです。

 あと、見た目で言えば、「ハーフ」っていうのはハードルとしてずっと感じてますね。

 

「ハーフ」だからこそのハードルと壁

――具体的にはどんなところで壁を感じますか。

MARIA 決めつけに聞こえるかもしれないけど、自分と同じ国の人が評価されてたら、「日本人すごい!」って誇らしく思ったりすると思うんですよ。でも、私も日本人ですけど、この見た目だと、「日本人なのにすごいね」とは思ってもらえないんですよね。

 私がBUDDHA BRANDを聴いて「わぁ、すごい」って思えたのは、「英語と日本語でラップできちゃうんだ」という部分だったけど、私が同じようにラップしても、「ハーフだからでしょ」で終わってしまう。

――「ハーフだから英語できて当然じゃん」と思われてしまうと。

MARIA そう。皆その人の背景なんて知らないですからね。そういう意味で、自分ではブレイクスルーしなきゃいけない壁がずっとあって、それを壊せてないんじゃないかっていう気はしてます。